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2人の育児と両立しながらホテルマン歴15年。誇りと責任が支える笑顔!
2人の育児と両立しながらホテルマン歴15年。誇りと責任が支える笑顔!
ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル 営業推進部
ウエディングセールス ウエディングマネージャー 大槻久美子さん Kumiko Otuki
- わたしの強み
誰とでも垣根をつくらないコミュニケーション力。物事をポジティブに捉える力
- このしごとに必要な力は?
想像力(相手の気持ちや物事の展開を想像する力)
- 年齢
- 40歳
- 家族
- 夫、5歳と2歳の娘
- 所属
- ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル
ハイクオリティな接客に憧れ、ホテル業界の戸を叩く
社会人の第一歩は、コールセンターを代行している会社への新卒入社でした。学生時代からサービス業や顧客意識を知ることに興味があり、コールセンターという仕事には「お客様の声が集まる場」という魅力を感じました。センターに寄せられる多様なご意見を分析してクライアントにフィードバックすることで、サービス向上に貢献することができる。その点がとてもおもしろかったです。
しかし、3年ほど勤めている間に、お客様との距離感に物足りなさを感じるようになりました。コールセンターでは、お客様と電話越しにしかつながることができません。やはりお客様と対面で深く関わることができる仕事に就きたい、そして自分自身を磨いて成長できる環境に行きたい……そう思い、あらためてどんな仕事があるだろうと検討したときに脳裏をよぎったのが、一流のサービスが求められる「ホテル業界」でした。
そして、現在の職場であるヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルに転職しました。面接のときに伝えたのは「接客の技術を磨き、お客様との信頼関係を築きたい」という熱意。そして「お客様と長くお付き合いしたいという気持ちがあるため、ゆくゆくはウエディングの部署を志望しています」とアピールしました。
初めに配属されたのは、同ホテルのメインダイニングである「驊騮(かりゅう)」という中国料理レストランです。ここでまず学んだのは、ホテルマンとしての所作の重要さです。私の担当はレセプションで、お客様のご案内やお見送りをしていたのですが、お客様にとってホテルのレストランは、ハレの日や大切な商談の際に利用されることが多い場であり、「一流のおもてなし」が期待されています。当初は歩き方ひとつをとってもスマートに出来ているか、お客様のハレの意識に寄り沿う接客が出来ているか、と試行錯誤の連続でした。もちろん予約も間違えてはいけません。緊張感があり、ミスなく仕事を遂行するという姿勢も学ぶことができました。
思い返すと「驊騮」では、よい意味で期待を裏切られたことがありました。私はレストランとは一回きりの接客をする場だろうと思っていたのですが、予想以上にリピーターのお客様が多く、長期的なお付き合いをさせていただけたことです。ご家族やお仕事の節目節目にお出かけくださるわけです。それなのに配属当初は、リピーターのお客様の顔と名前が一致せず、歯がゆい思いをしました。そこで、自分なりの工夫としてノートにお客様の似顔絵を描いて覚えたり・・次第に信頼を寄せていただけるようになりました。ホテル業界への転職を決めた動機である「お客様と深い関係性を築きたい」という願いが、早速ここで叶ったのです。
ウエディングコンシェルジュとして、一生に一度のハレの日に立ち会う。
2年ほど「驊騮」で働いた後、念願叶いウエディングの部署への異動が決まりました。
ウエディングの仕事は大きく分けて2つあります。ひとつは結婚式を検討されているお客様に対して施設をご案内したり、契約のお手続きをする新規のご案内業務。もう一つは招待状などの準備から当日の進行まで数ヶ月間にわたって担当するプランナーの業務です。お客様の大切な時間に立ち会うという点ではレストランと同じですが、結婚式はなんといっても一生に一度の晴れ舞台といえます。人生のターニングポイントになるようなイベントに関わらせていただけるというのが、何よりも特別なやりがいに感じられました。
当然その分、プレッシャーもあります。苦い経験もしました。あるとき、式に向けての準備を進めるなかで、ご新郎様からご新婦様に、当日サプライズの催しをしたいというお話を伺いました。ご新郎様はそのこと自体をご新婦様に内緒されたかったのですが、私がその意向を汲みきれずに、ふとしたやりとりのなかでご新婦様にサプライズの存在を気づかれてしまったんです。ご新郎様は大変がっかりされました。私も申し訳なさと悲しさでいっぱいでしたし、お二人の大切な時間を一緒に創りあげる責任の重さを改めて胸に誓った出来事でした。
もう一度やり直し・・が叶わない仕事ですから、これまでにさまざまなアクシデントや失敗はありました。その度に苦しくても「絶対にこの過ちを繰り返さないぞ」とひとつひとつを受け止め、学ぶことで、ウエディングコンシェルジュとして成長してこられたように思います。
ライフステージの変化とともに、職務内容を柔軟にアレンジできたこと・・
天職とも思えるウエディングの仕事でしたが、転機はありました。
第一子を出産したときです。このとき既に8年ほどプランナーを務め、自分のなかではある程度やりきったという気持ちもあり、育休から復帰するときには必ずしもウエディングの部署でなくてもよいと考えていました。ウエディングの仕事への愛情は失っていませんでしたが、私は仕事についのめり込みすぎてしまう性質で、出産後に以前と同じようには働けないかも・・という不安もあったのです。
ですから、ウエディングの部署への復帰が決まったとき、働き方については正直、悩みました。
でも、実際に復帰をしてみたら、その不安は杞憂でした。上司や仲間が育児との両立に理解を示してくれ、出産前とは違っても、その時なりに力を発揮できるよう考えてくれたからです。具体的にはまず、プランナーとして担当をもつ組数を大幅に減らしていただきました。私からも、今の自分が経験をいかして部署に貢献できることは何かを考え、提案をしました。後輩の指導にあたり、様々なマニュアルを整えることを申し出てみたんです。実はマニュアル作りは、前職のコールセンター時代に経験を積んでいて、大の得意分野だったのです。このとき制作したマニュアルは、改訂を重ねながら現在も現場で活用されています。
その3年後、第二子を出産。育休復帰に際しては、また働き方を見直す必要性に迫られました。子どもの発熱などで急にお休みをいただく可能性を考えると、お客様と密にお付き合いするプランナーの仕事を続けるのは難しいと感じたんです。今度はウエディングにおいての裏方として、広報や販売促進に従事することになりました。どんな仕事かというと、結婚情報誌への情報掲載のアレンジや、WEBの広告配信などを手掛けました。これまでまったく経験したことがない業務。初めは手探り状態でしたが、広報PR関係の研修に参加させていただき、現在はようやく楽しさや手応えを感じるようになってきたところです。
横浜のシンボルのような場で働く誇りを胸に。
気づけば13年もの間、ウエディングの仕事に関わっています。長く続けてこられた理由は、とてもシンプル。結婚式という特別な場ならではの空気や感覚がとにかく自分に合っていたのだと思います。本番の前夜は緊張で眠れない日もありましたが、その分達成感はひとしおですし、お客様から「ありがとう」のお気持ちをダイレクトにいただけることが多く、この充足感は他の仕事ではなかなか味わえないのではないかと思っています。
それから、このホテルで働き続ける理由も、本当に単純なことで。ただただこのホテルが好きなのです。私は横浜生まれ横浜育ちなのですが「あぁ、あの帆の形のホテルね」って友達や誰に話しても横浜の人ならみんな知っていてくれます。横浜のシンボルのようなこの場所で働いているということは、自分だけでなく家族の誇りにもなっています。
もちろん、職場環境としても、非常に温かみがある家庭的な雰囲気が好きです。
正直に言うと、働き続けていることで、娘たちに寂しい思いをさせているのではないかと思い悩むこともあります。上の子は最近になって「他の子のママはもっと早く保育園にお迎えに来るよ」と言ってくるようになりましたし、下の子も、仕事の日は帰宅後にそばから離れようとしません。しかしその反面、彼女たちは私がこのホテルで働いていることが嬉しいようでもあるのです。テレビなどで、みなとみらいの景色のなかに、この特徴的なホテルの外観が映っただけで「ママ、映ったよ!」と大興奮。上の子にいたっては、「大きくなったらママと一緒に働く!」と意気込んでくれています。嬉しいですね。
自分にできることは、娘たちの誇りであり続けられるよう、これからも誠実に仕事に取り組むということ。そして、家庭ではしっかりと切り替えて、子ども達と思い切り遊ぶ!ということだと考えています。
仕事と家庭を両立するにあたっての私のテーマは「頑張りすぎない」です。夫は同業だったこともあり理解はありますが、家事シェアはどうでしょうか?まだまだ課題ですね(笑)
自分らしい両立、どのような働き方を選択するかは人それぞれです。先輩の中にはお子さんをもちながら、ばりばりと現場で働き続けているバイタリティあふれる方もいらっしゃいます。私の場合は転機を自覚し、不安を周囲に相談し、働き方を変えてきました。頑張りすぎず、です。だからこそ、今、私は“自分に合った働き方を選択した一つのモデルケース”として成果を出したいと思っています。幸いにもホテルという職場は、ひとつの町や村かと思うほど多様な職種を擁しており、働き方を柔軟に選択することが可能な業種です。大好きな職場で働けることに感謝しながら、これからも、長く、自分らしい働き方で活躍できたらと願っています。