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救急救命士から消防出張所の所長に。 女性消防士の先駆け

救急救命士から消防出張所の所長に
女性消防士の先駆け

横浜市緑消防署長津田消防出張所 所長 緑川 郁さんMidorikawa Iku
女性キャリアモデル緑川さん
取得資格 特技
救急救命士、中高教諭免許、普通自動車運転免許、危険物取扱主任者、陸上特殊無線技士、応急手当指導員
わたしの強み
ポジティブ
このしごとに必要な力は?
共感力、コミュニケーション力、鈍感力
年齢
40歳
家族

命を助ける現場に一番に行きたい

女性キャリアモデル緑川さん写真

長津田消防出張所にて

学生時代からスキーが得意で、モーグルの選手でした。それで、大学を卒業後は、スキーの大会に出るために組織には属さず、登山雑誌の編集の手伝いをしていました。
山が好きなんです。登山やしごとの取材で山小屋に長く泊まると、山で遭難した人を救助しに行くレスキュー隊と一緒になることがありました。レスキュー活動を手伝ったこともあって、「命を助ける」というしごとに興味をもつようになりました。
大学を卒業して2年ほどたって「そろそろ定職に就かなくては」と思った時、医療職を考えたのですが、一般的に医師や看護師は、助けを求めている人に一番最初に接するわけではない。最初は救命士が入って、病院についてからがしごとになります。レスキュー隊を間近で見ていたこともあって、助けを求めている人のところに一番に駆けつけられる救命士になろうと決めました。
大学で英語を学んだので、語学力を活かしたいという気持ちもあり、外国人が多そうなイメージのある横浜市の消防職員試験を受けました。採用試験に合格したあとは、6ヵ月間、消防学校で訓練を受け、救急隊に配属されました。
消防士にとって、体力は重要。消防学校では、9㎏はある防火服を着て、酸素ボンベを背負い、ホースを両手にもって1㎞くらい走ったり階段を上り下りしたりという訓練を真夏にやりました。

昇任試験はやりたいしごとをするためのステップ

女性キャリアモデル緑川さん写真

訓練センターにて、救助活動訓練中

消防は、消防隊・救助隊・救急隊と3つに分かれています。救助は助け出すしごと、救急は搬送が専門です。当時、女性は救急隊にしか配属されなかったので、私も4年間、救急隊員として働きました。私の最初の出場は、夜間のバイク事故。先輩に「足もってこい」と言われて、切断された両足を運びました。指示通りにやりましたけど、もう無我夢中でしたね。きびしい現場もありますが、ひとたび出場指令が入れば「出場スイッチ」がオンになる、救急救命士になるんですね。
救急隊に勤務している間に救急救命士の国家資格を取りました。それとは別に、消防士長、消防司令補、司令と昇任試験を受けています。消防士のしごとでは、部隊をまとめるのは隊長(消防司令補)、消防車の運転は消防士長と、階級によってできるしごとが決まっています。私は、自分がしたいしごとをするために、昇任試験を受けてしごとの幅を広げてきました。

男性職場で働く

女性キャリア緑川さん写真

モーグル選手だった緑川さん。槍ヶ岳でスキー

区の消防署を皮切りに消防局の救急課、総務課、総務局の人事課など、さまざまなセクションに異動して、現在、長津田消防出張所の所長です。異動前の消防局救急課は、比較的女性が多い職場だったので、着任当初は、20人の男性の中に女性一人という環境に少しとまどいました。でも、女性だからと特別に扱われることはなく、いまはもう、仲間として一緒に働けていると実感しています。
女性消防士の数は多くありません。横浜市消防局の職員は3,600人で、そのうち女性は全体の約3%、100人くらいです。女性消防士ができるしごとが限られていた時代もありましたが、いまは女性が就けないしごとはありません。確かに、救急隊のしごとで、体格が大きい患者さんを持ち上げるのに苦労することがあります。でも、その時は消防隊員に協力要請をすればいい。「女性」ということで負担を感じたことはありません。私も消防隊員としての災害現場に出場することがありますしね。

女性消防士のロールモデルとして

現在、横浜市の消防局では、女性消防士が採用されるようになってからの女性責任職は6人しかいません。ロールモデルとなる人がいないので、今後自分がどうなっていくのか、どういう職務についていくのか、わかりません。
むしろ、自分が道を切りひらいていく立場だと思っています。だから、後輩女性への影響を考えると、簡単に「このしごとはできません」とは言えません。それを言えば「女性はそういうものだ」と思われてしまいますから。
時には失敗することもありますけど、私はすごくポジティブ。くよくよ悩まず、しごとと割り切って後ろを振り返らないようにしています。それから、視野が狭くならないように、意識していろいろな分野の方と交流するようにしています。

緑川さんからのメッセージ

男性が多い職場で働くときに、先入観で「女性だからこういうことはできない」と考えるのではなく、自分がやりたいと思ったことを積極的に、前向きにチャレンジしてほしいですね。「女性で務まるのか」という人もいますが、気にしてもしかたありません。ときには鈍感力も必要です。(2015年9月インタビュー)
女性キャリアモデル緑川さん写真
横浜市緑消防署長
津田消防出張所所長
緑川 郁

Life & Career History

年表_緑川様