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外資系企業で働く醍醐味。 仕事を通じて、目標に貢献する楽しみ
外資系企業で働く醍醐味
仕事を通じて、目標に貢献する楽しみ
インテル株式会社人事部長 大住 りおさんOsumi Rio
- わたしの強み
- 飽きっぽいところ
言い方を変えれば、変化を好む - このしごとに必要な力は?
- 体力、率先力、実行し完結する力
- 家族
- 夫、息子1人
新卒採用された職場を2年4ヵ月で退職し、米国留学
「男女雇用機会均等法」が施行された翌年の1987年、国内四年制大学を卒業し、四年制大学卒業の女子学生を積極的に採用していた都市銀行に専門職として入行しました。配属されたのは金融市場本部資金為替部。金融市場に直結した職場のダイナミックさに圧倒されながらも、新社会人として大切に育てていただきました。均等法が施行され、景気も良く、同期入行人数も総合職・専門職・一般職合わせて数百人規模の時代でした。お客様と経済動向や金融市場動向のお話をさせていただきながら、経済・金融の根幹となるアカデミックな勉学をしてこなかったので、自分の行動に自信をもてずにおりました。社会人として1年たち、やはり経済学を一から勉強したいな、という気持ちが強くなりました。以前から生活してみたいと思っていたアメリカでの進学を検討していく中で、アカデミアで学問としての経済学を極めるつもりでないなら、経営学修士を取り職業人としてキャリアを作っていくパスもあるよ、と助言があり、縁あって米国東部の理工系総合大学の経営修士課程に在籍することがかないました。
日本からは、優秀な企業派遣留学生が集まり、世界からは多様な背景をもった学生が、また米国内からも理工系の業績華々しい学生に囲まれ、学業についていくことも容易でなく、追試・再追試と追い詰められ、資金も底をつき、退学したいと何度学生課で泣いたかわかりません。
米系銀行東京支店から、米系IT企業へ転職
どうにか卒業の目処がたち、東京に戻り留学前と同様の仕事に米系銀行で携わることになりました。資金為替関連の部署内で何度かローテーションをし、派生商品営業のチームで指導していただいた上司が私の職業人生でのロールモデルとなる素敵な女性でした。チームワーク、リーダーシップ、目標設定とそこへの到達のコーチング、一人ひとりことなる資質に対する励ましと認識、彼女との出会いにより、自己の絶えない向上心が必須である、という社会人としての基礎を静かに固めることができました。その上司が転職し、東京支店の役割にも変化が起こり、金融市場から離れた銀行業務に挑戦している時期に、金利や外国為替取扱いの経験の延長線として、事業会社の財務部で財務戦略を担う職の打診があり、二つ返事で承諾しました。それまで銀行の専門職として顧客にアドバイスする立場から、計画立案を含めて実行していく立場に変わることは魅力的でした。圧倒的な技術革新の勢いがあり、西海岸の自由闊達な社風にも魅力を感じました。東京の小さな財務チームを取りまとめる職位につき、外国為替のヘッジ、年金の運用、人材育成などに携わりながら、ベンチャー投資の立ち上げ、売上管理や予算管理のファイナンス部門なども経験し、2006年中国法人に転籍しました。中国では成長する人民元市場を視野に入れながら、中国法人の財務方針を立案実行、さらに工場建設の為に地方政府ならびに中央銀行の方々と折衝をする、とても大きな挑戦を任されました。交渉の相手方が女性であることも多く、社内同様、男女差を感じることはないまま、仕事ができました。中国勤務の間に長男にを授かり、法定の産前産後・育児休暇(5ヵ月)を取り、両親の力を借りて仕事を続けました。会社から両親の滞在許可のサポートがフルにあったこと、職場に育児仲間がいたことは仕事を続けていくうえでどれだけ大切であったかは言葉で尽くせません。その後東京に戻り、2013年には財務部門を離れ、日本法人の人事部に異動しました。
管理職に必要なこと
わたしが中国で産前産後・育児休暇の期間中、代理で任務遂行に携わったのは中国人女性でした。彼女はすでに管理職の経験もあり、意欲も能力も高く、とても信頼できる人材でした。日本では女性は管理職につくことを躊躇する、と聞くことがあります。私自身は管理職につくことに対して心理的な壁は感じませんでした。仕事の延長線上にあることであり、また前職の米系銀行でロールモデルに出遇っていたことが大きかったと思います。また、私が知る限り米系企業は、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と受容)という基本的な考え方が日本に比べてすでに根付いているように思います。私個人としても、男女を問わず、前職から同僚にはインドネシア、マレーシア、台湾、もちろん米系ですのでアメリカ出身の同僚が沢山いましたし、香港、インド、韓国、中国など、他国出身の上司と働くことが多かったので、性差や国籍・育った背景の違いに抵抗を感じたことはありません。チームの目標、会社の方向性などが共有できていれば、同じゴールを目指すために、単一である必要はないと考えます。
日本で女性がなかなか管理職になりたがらないと言われている理由は、身近なところに性差を越えたロールモデルがいないことも一因ではないでしょうか?一社員でいるよりも、管理職になれば、より多くの軋轢や摩擦を避けて通ることは避けられないでしょう。一般的にいう、伝統的な日本の会社におけるある意味古い管理職像に、魅力を感じられないこともあるでしょう。管理職としての、厳しい決断もしなくてなりません。でもそれは個人的な、感情的なことではなく、会社が存続し、より業績を伸ばし、顧客や株主に対して責任を果たしていくための決断であり実行力であるべきです。その一旦を担うという職責は、責任が重いものではありますが、能力が備わっていれば性差や出身などを越えて、だれもが挑戦するにふさわしい権限ではないかなと思います。自分ひとりの貢献だけではなく、多様な人材を束ねて、チームとしての貢献ができるという立場は創意工夫の宝庫ですね。
変化のスピードが速い社会。自分で能動的に変わっていくことが大事
わたしの好きな言葉に、英語でそのまま記すと「Change before you have to」という一文があります。たとえば、自分の能力が陳腐化していることに気付かずに漫然と仕事をしていれば、「大住さん、そろそろ次を考えたら?」とアドバイスを受けることでしょう。つまり、もう、今のあなたは役にたたないよ、という意味ですね。これを言われる前に、自分に何が期待され、そのためにはどのような能力をつけていくべきなのか、日々繰り返し自問しながら、上司や仕事でかかわる人を巻き込んで、自分で能動的に学んでいくことだけが、自分を向上させることができます。今は外資系・日系にかかわらず、市場が大きく変化している時代です。社会人としての自分の価値もより高くしていくために、現状に甘んじず自分で能動的に変わっていくこと、自己研鑽が大切です。とはいっても、なかなか実際には、難しいことですね。つい、後回しになりがちです。私は本当はなまけものなので、自分に叱咤激励の毎日です。
大住さんからのメッセージ
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