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国内初の医療法人所属女子ラグビーチームで仕事とラグビー両立真っ最中!

国内初の医療法人所属女子ラグビーチームで仕事とラグビー両立真っ最中!

女子ラグビー選手 鈴木育美さん ikumi suzuki
わたしの強み
根性
このしごとに必要な力は?
ときには勇気を出して休むこと。それを含めたタイムマネジメント力
年齢
29歳
家族
寮にて、チームの選手たちと共同生活
所属

YOKOHAMA TKM(医療法人横浜柏堤会所属の女子ラグビーチーム)

「One for All,All for One」であるラグビーの魅力を知る

ラグビーと出会ったのは、大学時代です。元々スポーツが好きで、将来は指導者になりたいと思い日本体育大学に進学したのですが、そこで何か打ち込める部活動がしたいなと思いまして。その年齢から始めても本格的に取り組めて、かつ雰囲気のよい部活動を探して行き着いたのが、女子ラグビーでした。ラグビーのおもしろい点は、選手一人ひとりの強みや個性をいかして、チームで戦うというところです。たとえ体格差があってもその人にふさわしい、力を発揮できるポジションがあります。一人がずば抜けていてもトライ(得点方法の一つで、相手のゴールエリアにボールを接地させること)はできなくて、みんなで熱いディフェンスを繰り広げて、パスをつないで、ゴールを狙うということにすごくやりがいを感じました。

大学では教員免許もとりましたが、ラグビーに夢中になっていたので、卒業後はより本格的にラグビーをやりたいと考えるようになりました。ちょうどそのとき、現在所属しているプロ女子ラグビークラブ「YOKOHAMA TKM(戸塚共立メディカル女子ラグビークラブ 2011年8月横浜市戸塚区にて発足)」ができるというタイミングで、声をかけていただいたんです。

現在は、半日は病院に勤務し、もう半日はグラウンド練習やウエイトトレーニングをおこなう日々です。所属選手は、各々、総務や介護助手などの部署に配属されています。私の仕事は受付事務です。医療や事務職についての知識はもちろんありませんでした。最初は知らないことばかりで大変でしたが、先輩たちが親身に教えてくれましたし、次第に慣れていくことができました。8年の間には職場の異動も経験し、同じ受付業務でも病院の診療分野によって患者さんの様子や求めているものが違うこと、それに応じたご案内が大切ということもわかってきました。

夜は寮でチームメイトと一緒に夕飯をとり、ミーティングがなければ自由時間になります。ちなみに夕飯は調理師さんが作ってくれるので、栄養やカロリー計算もばっちり。寮にはケア室もあり、専属トレーナーのケアが受けられます。両立はハードですが、社会人ラグビーにおいては、フルタイムで仕事をしてから練習に行くという先輩方も多く、両立に苦労されているので、本当に恵まれた環境だと思います。

 

両立で生まれる、よい循環

仕事とラグビーの両立は、メリットも大きいです。ラグビーはチームプレーです。まわりの空気や状況を読んで声をかけたり、ときにはあえて声をかけなかったりという気遣いや全体を見ての判断力が実戦のなかで求められ、身についていると思うのですが、それは受付の仕事でも役に立っていると感じます。具体的には、患者さんが不安そうであればマニュアル通りにご案内するだけでなく、じっくりお話を聞くとか。その方が、安心、納得して治療に臨んだり、帰宅していただけるように働きかけています。

ときには患者さんのなかで、わたしの日焼けしている肌を見て「何かスポーツしているの?」と声をかけてくださる方がいらっしゃるんです。それをきっかけに、この病院にラグビーチームがあると知っていただいたり、大会の結果を気にかけてくれたりして。そんなふうにラグビーに興味をもっていただけるなんて思ってもみなかったので、本当に嬉しいです。

両立による時間の制約に関しては、「半日は仕事をしないといけない」と捉える人もいるかと思いますが、個人的には練習の時間が限られているからこそ、メリハリのあるスケジュールが組めていると思います。時間の使い方を自分で考えて、「今日はしっかり休もう」とか「前日は休めたから今日はもう一回トレーニングに行こう」とか、計画的に動く習慣がつきました。もし無限に時間があったら、かえって時間を無駄にしていたかもしれませんね。

両立のコツは、オフの時間も計画的に確保することかな。以前はハードな練習があってもすぐにリカバリーできていたのですが、最近はだんだんと疲労がとれにくくなくなってきてしまって…。それで仕事も練習も中途半端になってしまっては本末転倒なので、休む日は思い切り休んで、自分だけの時間を持って、心身ともにリフレッシュできるよう心がけています。

 

ラグビーチームと職場、それぞれのポジション

ラグビーでは一人ひとりのポジションが決まっていていますが、職場では自分のポジション(居場所)は自分で見つけ出さなければいけません。わたしたちは半日しか職場にいられないため、どうしてもまわりの方のサポートに頼ってしまう部分も多いです。なので、とにかく勤務時間内はしっかりと業務に取り組み、引き継ぎは丁寧におこなう。信頼してもらえる働き方が大事かなと思っています。ささいなことですけど、心掛けているのは、ストック品の補充など“誰かがやってくれていたこと”に気がついて自分もできるように、とか。ラグビーのことも何気ない会話の中で試合の報告をしたり。こんなふうに自分から積極的に周囲に働きかけることで、自分なりの居場所ができ、まわりの皆さんからも応援していただけている実感があって、それも励みになります。

ちなみに、ラグビーでのポジションはスリークォーターバックといって、7人制ラグビーでは一番外側にいるプレイヤーです。役割は、相手をステップとスピードで惑わして、できるだけボールを前に進めること。自分のスペースが広くて、自由に走ることができるポジションです。スポーツって、相手と戦うだけでなく、自分と戦うものでもあるんです。自信をつけるためにひたすらきつい練習をおこなうことを「根性練習」と呼ぶのですが、わたしは以前バスケットボールをやっていた頃からこうした練習を乗り越えてきて、「根性」には自信があります。今後は強気に攻めていけるようにステップワークの精度を上げながら、自分の限界を超えても走り続ける、そんなプレイがしたいですね。

 

けがをバネに、ラグビーへの情熱を燃やす

チームでめざしていることは、参戦した大会で優勝すること。ちょうど7人制女子ラグビーの国内最高峰「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2019」が終わったところで、第1戦の秋田大会で準優勝、年間総合順位5位という結果でした。9月からは合同チームを組んで15人制の大会に出場して優勝を狙います。

 

「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2019」秋田大会準優勝(後列左端が鈴木選手)

個人的な目標は、まだまだ現役でラグビーをやっていきたいということです。実はわたしは22歳のころ、日本代表候補になった矢先に合宿で大きなけがをしてしまって、2年ほどずっとリハビリしていたんです。当時は正直、長くは続けられないかもしれないと思ったこともありました。だからこそ、けがを克服して復帰する場があったこと、純粋にラグビーに打ち込めている今の環境がすごくありがたいです。

ラグビーは、続けようと思えば30代後半までできるスポーツなので、セカンドキャリアについて現在はあまり考えていません。指導者をめざすという選択肢も、ラグビーの奥深さを知れば知るほど、まだピンとこないので、医療事務の知識をつけながら、やりたいことを模索していこうと思っています。

 

両立も「One for All, All for One」(一人はみんなのために、みんなは一人のために)

昨年加入した新しい仲間の松永選手(右)と。

YOKOHAMA TKMの一員になって8年目になります。
チームとしては伸び悩んだり、結果が出ない苦しい状況もあります。自分はチームのためにどう変われるか、というところがポイントになるかなと思っています。チームの目標を実現することが自分自身の成長になる。大好きなこのチームで結果を出したい。今はその一心ですね。ラグビーと仕事の両方を通して、サポートしてくれる仲間や地域の皆さんにわたしらしい恩返しをしていきたいです。

◆試合写真提供:YOKOHAMA TKM

後輩女性(アスリート)へのメッセージ

わたし自身、まさか自分が病院に勤めることになるとは思っていなかったので不安はありました。とにかく挑戦してみようという気持ちでこのチームへの所属を決意しました。ラグビーも仕事もやってみないとわからないですし、やりがいは自ら見つけるものだと思うので、チャンスがあれば、何でも思い切って飛び込んでみることが大切かなと思います。女子ラグビーをやりたいという方、もし興味をもってくださったらぜひ私たちのチームも選択肢に入れてくれたら嬉しいです。 そして地元横浜の皆さん、これからも応援よろしくお願いします。 (2019年7月インタビュー)
YOKOHAMA TKM
鈴木育美さん

Life & Career History