「フォーラム通信」2024年夏秋号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2024年夏秋号の特集は、「いま働く人に聞いてみた~私の職業選択~」「女・男には向かない職業(?)~仕事とジェンダー格差の観点から~」。「母子専用のシェアハウスをはじめて」。


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うな設計を考えていて、2〜3年くらい、いろんな人に話をしに行きました。そこで興味関心をもった人たちと対話を重ねていき、ご縁があって、日本初の母子専用のシェアハウス「ペアレンティングホーム」を立ち上げました。子育てをテーマにしたシェアハウスとして勢いで立ち上げたのですが、母子世帯が住まいを借りづらいことを認識できていなくて、立ち上げてから潜在的な課題を目の当たりにしました。ポータルサイト「マザーポート」を開設した背景母子専用のシェアハウスを始めることで、事務所に設計依頼が来ることを期待していたのですが、特に依頼は来なかったんです。そもそもシェアハウスって、いい条件の物件を購入して、極力リフォームはしないまま利用できる方が良いので、建築家の出番がないんです。建築家としては、いい物件に住んで欲しいけれど、それを実現するためには膨大な費用が掛かるし、ジレンマがありますね。「自分自身が本当にやりたいことは何か?」と考えたとき、もっと母子専用のシェアハウスを日本中に広めて、いろんな選択肢を作って、誰もが住まいを選べる状態にしたいと思ったんです。その思いから、私たちだけで抱え込まずに情報をすべてオープンにしていこうと、「マザーポート」を開設しました。情報掲載や相談は、すべて無料です。金銭的なメリットはありませんが、間違いなく社会にとってはいいことだと思うので。この情報を必要とする人に、広く知ってもらいたいです。秋山さんのパワーの源は?はっきりとした答えはないんですが、まだあまりやったことがないことや、子どものこととか、「それをやることで社会がよりよくなる」ことは、モチベーションが上がります。ポイントは、次の世代に何が残せるかというところだと思います。娘にも、格好いいパパだと思ってもらいたいので。今後の展望最近、新しい事業を始めました。母子世帯への家賃補助、ファイナンシャルプランニング、就労支援を組み合わせたプログラムです。具体的には、6ヵ月間、母子専用シェアハウスの入居者の家賃を免除する代わりに、ファイナンシャルプランニングやキャリアカウンセリングを受けてもらい、自立への一歩を支援するプログラムです。2年間で50世帯を目標に考えています。2024年5月から開始していて、現在(インタビュー5月上旬時点)、6世帯が参加しています。この取組は、こども家庭庁にも情報を共有しています。成果が出ることで、いずれ制度や仕組み化につながればいいなと思います。シングルマザー向けポータルサイト「マザーポート」は、こちらの二次元コードからご覧いただけます。特集2母子専用のシェアハウスを始めてプロフィール株式会社秋山立花代表取締役。特定非営利活動法人全国ひとり親居住支援機構代表理事。平成26〜30年横浜国立大学非常勤講師平成27〜28年神奈川県地方創生推進会議委員平成30年〜京都市ソーシャルイノベーション研究所フェロー平成31年〜長野県立大学ソーシャル・イノベーション創出センターアドバイザリーメンバー令和2年〜東洋大学非常勤講師令和4年〜東京都立大学非常勤講師7フォーラム通信2024夏秋号


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