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フォーラム通信2024夏秋号4特集1女/男には向かない職業(?)〜仕事とジェンダー格差の観点から〜寄稿細谷実(ほそやまこと)さん保育園などの職員は、乳母のように母親業を代行する者と思われて、かつて保母と呼ばれ、男には向いていないとされてきた(ただし、わずかながら保父もいた)。0世紀の終わりに、保育それが、2士という呼び名に変わり、男性保育士が増加してきた。同様に、看護は男には向かないと見なされ、看護の世界でも多くの女性看護婦とわずかな男性看護士という状況が続いてきたが、やはり20世紀の終わりに呼び名が看護師で統一され、男性も増えてきた。一般企業においては、窓口や受付や電話オペレーターや一般職などが、「男には向かない職業」とされてきた。つまり、他人をケアする仕事やアシスタント的仕事がそう見られてきた。思うに、ある職業が「男には向かない職業」と見られてしまう理由は二つある。第一に、世の中で信じられている男の適性や男イメージに照らして、ミスマッチな職だと考えられるからである。第二に、男は妻子を養わなければならないとされ、それに足るだけの収入が得られない職業は、男にはイギリスの女性作家P・D・ジェイムズが1972年に出した推理小説に『女には向かない職業(AnUnsuitableJobforaWoman)』がある。その職業とは探偵業である。この小説の主人公がそうであるように、職業的女性探偵はフィクションでけっこう活躍している。しかし、実際のところはどうなの横浜にも女性スタッフだろう?による探偵事務所がいくつかある。主な仕事の依頼は、家庭問題に関するもののようである。銃は持っていないらしい。探偵以外にも「女には向かない職業」と見なされてきたものはある。逆に「男には向かない職業」と見なされてきたものもある。こちらの方から考えてみよう。