「フォーラム通信」2024年冬春号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2024年冬春号の特集は、「女性・スポーツ・ジェンダー」「サッカーをあきらめなくていい」。


>> P.6

ざまな視点で見られるようになりました。実際に、選手やスタッフがどういう思いで活動しているかを目の当たりにし、改善や声を上げることに努めています。まず、女性のスポーツ選手が活動をしていくなかでは、身体的なサポートが必要不可欠です。これまでも女性トレーナーの登用はしていましたが、他のスタッフがほぼ男性でしたので、月経や心身の不調が起こることへのケアは難しかったのではないかと思います。ここに女性スタッフを多く配置することで、ちょっとした不調でも気兼ねなく言いやすい環境になっていると思います。また、選手がサッカー活動をしていくなかでは、女子サッカーのプロリーグ(WEリーグ)ができたことで、妊娠や産休に対する規則がようやく整備されましたが、スタッフは基本的に業務委託で仕事をしているので、そのあたりの法整備が遅れているという印象があります。写真提供:ニッパツ横浜FCシーガルズ斉藤織恵(さいとうおりえ)2023シーズンより、ニッパツ横浜FCシーガルズ(横浜市戸塚区)ゼネラルマネージャー(GM)に就任。(公財)日本サッカー協会スポーツマネジャーズカレッジサテライト講座インストラクター。+green(プラスグリーン)主宰セラピスト/ライフコーチ。1972年茨城県生まれ。横浜を華やかに彩れるような女子サッカーチームを目指して、奮闘中。SaitoOrie働き方の多様化が進むなかで、女性スポーツ界で活躍する人たちの待遇改善に向けて、私たちも現場から声を上げていかなくてはならないと痛感しています。―サッカー界の女性活躍推進に向けて女性スタッフを多く活用することで、女性の社会進出や雇用創出に寄与することができます。日本のジェンダーギャップ指数125位を改善したいという思いは女子サッカー界でも共通認識としてあります。女性スポーツ界から、女性人財の活躍推進を遂げることができれば、大きなメッセージになると感じています。特に、『シーガルズ』としては、横須賀シーガルズと提携することで、ユースからシニア層までのチームがあり、生涯スポーツとしてサッカーを続けることができる環境があります。この環境を活かした「女性活躍推進」を実現したいと考えています。具体的には、元女子サッカー選手(以下、OG)との連携強化です。OGは、引退後もサッカークラブとつながりをもつことで、現役の選手時代とは違う視点で関わることができます。そこからOGの雇用を創出する仕組みができると考えています。女子サッカー界に対して、新しいソリューションをどのように活用すればもっと盛り上げていけるのか考フォーラム通信2024冬春号6えながら、貢献していきたいと思っています。―生涯スポーツとしてのサッカー先日、ある横浜市立小学校から「女子選手に来て欲しい」という依頼を受けて、小学5年生へキャリア教育とサッカー指導をする機会がありました。キャリア教育の授業では、ニッパツ横浜FCシーガルズの紹介を通して、女子サッカーにもプロリーグ「WEリーグ」とアマチュアリーグ「なでしこリーグ」があることや、アマチュアの選手たちは、仕事をしながらサッカー選手として活躍していることなどをお話ししました。子どもたちには、「スポーツを続ける=プロ選手を目指さなければいけない」という極端な考えに縛られないでほしいです。アマチュア選手という選択肢や、生涯スポーツとして続けていくことも可能ですし、選択肢は広いというメッセージを発信していければと思います。アマチュアとして仕事をしながらサッカーを継続できる環境を作り、年齢や性別を問わず、サッカーをしたい人がサッカーをあきらめなくていい選択肢をクラブ全体のあり方として実現したいです。


<< | < | > | >>