「フォーラム通信」2024年冬春号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2024年冬春号の特集は、「女性・スポーツ・ジェンダー」「サッカーをあきらめなくていい」。


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特集1女性スポーツジェンダーいます。女性の運動阻害要因は、10代まで「面倒くさいから」と代〜4いう回答が多く見られます。特に、030代は男女ともに「仕事や家事が忙しい」ことが、運動時間をこれ以上増やせない要因となっています。家事や育児は女性が担うものといったジェンダー規範や性別役割分業により、スポーツをしたいという気持ちになれないほど「忙しい」ことも女性がスポーツから遠ざかる要因となっている可能性があります。また、「運動・スポーツ嫌い」や「運動、スポーツ以上に大切なことがある」、「場所や施設がない」という理由も、男性と比較して女性の阻害要因となっているようです。UNウィメンの※「平等を目指すすべての世代のためのスポーツ枠組み」(SportforGenerationEqualityFramework)令和4年度「全国体力・運動、運動習慣調査」では、体育の授業を除く1週間の総運動時間が420分以上の割合は、小学生男子は50・9・2%、中学1%、小学生女子は28・1%、中学生女子が生男子は7・7%であり、小中学校の女子生徒と男子生徒の間でもこれだけの差があります。57幼少期のスポーツ体験がポジティブなものであるほど、生涯にわたって運動やスポーツを楽しむようになると言われており、生涯スポーツにつながるスポーツ体験を小中学生女子たちはあまり得ていないのかもしれません。続いて、スポーツ競技団体の女性UNウィメンは、2020年から「GenerationEquality」平等を目指すすべての世代)というキャンペーンを実施しています。GenerationEqualityとは、年齢や国籍、ジェンダーに関わらず、世代を超えて全ての人々が手を取り合い、あらゆる方面で平等な社会を実現していくことを目的としています。「平等を目指すすべての世代のためのスポーツ枠組み(SportforGenerationEqualityFramework)」はスポーツの中でGenerationEqualityを目指していくための枠組みです。この枠組みに則った6つの原則をおさえることで、スポーツを通したジェンダー平等が達成できるとされています。平等とはフォーラム通信2024冬春号4の役員の割合をみてみます。令和元年6月にスポーツ庁が決定した「スポーツ団体ガバナンスコード」で設定0%でされた女性理事の目標割合は4すが、令和4年度の各中央競技団体4・5%における女性理事の割合は2に留まっています。私がアメリカで見てきた光景と反し、スポーツ現場で女性のリーダーシップを目にする場面はまだ日本に整っていません。女性や女の子が運動・スポーツから遠ざかるのは、ただ単に女性や女の子のスポーツに対するモチベーションが低いからでしょうか?スポーツ現場で女性の役員が少ないのは、女性にそのスキルと能力が備わっていないからでしょうか?一見、機会は平等にあどんな状態なのかを考えれば、前述したように女性や女の子のやる気がないから彼女たちがスポーツに参加しないわけではありませんし、能力やスキルがないからリーダーシップポジションに就いていないわけではないことがわかります。女性や女の子の前には目に見えない壁がたくさんあります。例えば、誰でも参加できるプログラムでも、女の子の写真やイメージが使用されない周知方法だと、女の子は自分のプログラムだと思うことができません。プログラムが実施される会場まで安全・安心にたどり着くことができなければ、プログラムに参加することはできません。その地域の伝統的な「女の子るように思えても、結果が平等でないのであれば、それはどこかしらに不平等が生じています。これまで男性が中心となって作ってきたスポーツの歴史や仕組みの中で、男性の視点で基準が設けられていたり、女性が十分にスキルアップできる機会が無かったり、女性のライフイベントを考慮した制度が整っていなかったりしているのがスポーツ界の現状です。スポーツをする女性は二流とみられることも未だに多く、男性優位主義のイデオロギーと社会の仕組みを再生産しています。では、このようなスポーツ現場をジェンダー平等にしていくためにどんな取り組みができるでしょうか。らしさ」から逸脱することを許してもらえなければ、女の子はそのスポーツをすることができません。どんなに女性に運動をすることを促しても、家事や育児が分担できなければ自由な時間を作ることができません。女性や女の子が様々な能力や知識を高める機会を作ることももちろん重要ですが、同時に女性や女の子の身近にいる人たちとの関係性を変化させていくことも必要です。さらには組織の文化や仕組みを変えていくことで、真のジェンダー平等が達成できるのだと思います。※UNWomen(国連女性機関)ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための機関です。


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