「フォーラム通信」2024年冬春号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2024年冬春号の特集は、「女性・スポーツ・ジェンダー」「サッカーをあきらめなくていい」。


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スウェーデンでのプロサッカー選手時代。地元の子どもたちのサッカー教室に参加。カー部のある女子校を選びました。女子校に進学できたことで、誰の目も気にすることなく「自分らしく」いることができ、自分自身が解放されました。学校で「女の子らしさ」を求められることもあまりなく、同じ目標に向かって切磋琢磨する同性の同学年の仲間に初めて出会うことができました。大学は共学に進学し、女子サッカー部に入りました。男子サッカー部は強豪で人数も多く、レベル別の7チームがありました。女子は1チームだけでした。まず男子の7チームがグラウンドを確保することが優先で、残りの余った時間に女子チームがグラウンドを確保し、練習予定を組んでいました。当時の私は、「男子が優先なのは仕方がない。だって男子だから」と考え、疑問をもつことはありませんでした。そんな私の考えが変わったのは、海外に留学をしてからでした。アメリカでは、ほとんどの女の子がサッカーをしたことがあり、どの特集1女性スポーツジェンダー地域に行っても身近に女子サッカーチームがありました。それだけでなく女性の指導者がプロとして活躍していました。アメリカにはタイトルナイン※という法律があります。連邦政府から補助金をもらっている教育機関は、男女の差を作ってはいけないという法律です。ですから、当たり前に大学の女子サッカー部は男子サッカー部と同じ条件で練習ができましたし、監督間での給与格差が男女チームの間であることが分かると、大学にそれを訴え、平等な賃金を獲得していました。推薦入学で優先的にとれる学生の枠も男子、女子それぞれ同数で、奨学金の支給額にも差がありませんでした。アメリカでは多くの女性リーダーにスポーツの現場で出会うことができました。日本にいた時は、あまり女性の監督や役員の方に会ったことがなかったので驚きました。リーダーシップポジションを担う女性の姿をたくさん見ることができたのは、アメリカのスポーツ文化と、男性が優先されることが当たり前の日本のスポーツ文化との大きな違いだと感じました。アメリカ留学を終える頃、スウェーデンでプロサッカー選手としてプレーできることが決まりました。スウェーデンは、世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダーギャップ0位以内には必ずラレポートで上位1ンクインしている、ジェンダー平等が進んでいる国です。スウェーデンには女子のプロサッカーリーグがあります。2014年当時の日本には女子サッカーのプロリーグは存在せず、どんなに努力をして上手くなっても、女性にはプロサッカー選手としての職業の道は開かれていませんでした。しかしスウェーデンには女性にもサッカー選手という職業選択の機会が広がっていました。また、女子チームに資本を投資する気風もありました。私がチームのスポンサー企業に、「なぜ女子チームを支援してくれるのか」と尋ねたところ、逆に「なぜ女子チームを支援しないと思うのですか?」と聞き返され、驚いたことを覚えています。ここまで私のパーソナルストーリーを交えながら、スポーツ現場に見られるジェンダー課題について少しだけ紹介しました。スポーツは体育の授業や部活動を通じて幼いころから私たちの身近にあります。身近にあるものからジェンダー課題を考えてみると、なじみやすいかもしれません。皆さんも昔を思い出してみると、性別を理由に嫌な思いをしたり、機会が得られなかったりする場面があったのではないでしょうか?※タイトルナイン1972年にアメリカで制定された公的な高等教育機関における性別による差別を禁止した法律の通称。国内のスポーツにおけるジェンダー課題の現状続いて、日本のスポーツとジェンダー課題に関する現状を数字で見てみます。まずは運動実施率です。令和4年度「スポーツの実施状況等に0歳以関する世論調査」によると、2上の週1日以上の運動・スポーツ実4・4%、女性が施率は、男性だと5・2%で、男性より女性の方が運動実施率が低いです。特に女性の場0代の運動実施率が低合、20代がく、男性の27・6%、30代から40代が5504255して、女性は40代が5・4%、42・8%なのに対0・0%、・3%と男女差が顕著にみられて4・8%、460%50%40%30%20代から40代の運動実施率男性女性20代30代40代3フォーラム通信2024冬春号


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