「フォーラム通信」2024年冬春号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2024年冬春号の特集は、「女性・スポーツ・ジェンダー」「サッカーをあきらめなくていい」。


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野口亜弥(のぐちあや)成城大学文芸学部専任講師。博士課程在籍。成城大学スポーツとジェンダー平等国際研究センター副センター長。専門は「スポーツと開発」と「スポーツとジェンダー・セクシュアリティ」。米国の大学院にてMBAを取得。スウェーデンでのプロ女子サッカー選手の経験を経て現役を引退。その後、ザンビアのNGOにて半年間、スポーツを通じたジェンダー平等を現場で実践。帰国後、スポーツ庁国際課に勤務し、国際協力及び女性スポーツを担当。各種講演やNGOや行政のプロジェクトにも専門家として参画。プライドハウス東京共同代表。フォーラム通信2024冬春号2特集1女性スポーツジェンダー寄稿野口亜弥さん「スポーツとジェンダー・セクシュアリティ」を専門とする野口亜弥さんに、スポーツとジェンダーについて、女性スポーツ界の現状と課題を中心に、ご紹介いただきました。NoguchiAyaスポーツ現場で私が感じた不自由私は兄の影響で3歳の時にサッカーを始めました。当時はサッカーをしている女の子は周りに一人もおらず、サッカーが大好きだった私は男の子に混ざってサッカーをしていました。小学校では、男の子っぽい恰好でサッカーをしている私は、よく同級生にからかわれました。トイレに行くと、「男の子は女子トイレに入っちゃいけない」と同級生に言われたり、「おとこおんな」と言われたことも多々ありました。サッカーをしている誇らしげな自分と、そのせいで周りにからかわれて悲しい思いをする自分がいて、どうして好きなサッカーを一生懸命頑張りたいだけなのに、心無い言葉を言われるのか分かりませんでした。中学校では女の子の大会に出るために女子チームに所属しなければならず、家から車で片道1時間半ほど離れた大人の女子チームに所属しました。ただ、近場で平日に練習をする場所がなくなってしまったので、通学していた中学校のサッカー部への入部を希望しました。ところが「女の子だから」という理由で入部を断られました。私は当時、男の子にも負けない位サッカーに自信があったので、入部できない理由が理解できませんでした。結局、家の近くに練習する環境を確保できず、両親が0分〜1時間半かけて、様々な車で4場所まで送迎してくれました。当時は女の子というだけで、サッカーを続けることはとても大変なことでした。中学時代にサッカーをする環境作りに苦労した経験から、高校はサッ


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