「フォーラム通信」2021年冬春号

横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2021年冬春号の特集は、「私、の夢」「コロナ疲れを感じているあなたに」です。


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特集2コロナ疲れを感じているあなたに〜心を置いてきぼりにしない方法〜2020年は、コロナ禍によって私たちの生活が大きく変化をしました。最初は未知のウイルスへの恐怖心によって気をつけながら過ごせていたと思いますが、それらは1年をかけて確実に「大きな疲れ」に変わってきています。冬は日照時間も短く「うつ」になりやすい季節です。しかし今回の冬はそれだけではなく、去年の疲れや、まだまだ侮れないウイルスの脅威まで加わっているのです。臨床心理士として感じることは、今までメンタルヘルスケアを実践されていた方も、そうでない方も、とにかく「自分を大切にしてほしい」ということ。そしてまずそれには、自分の心のキャパシティでもある“ストレス耐性”を知ってあげることが重要です。実はストレスの基準は人によって大きく異なります。自分の失敗をすぐに忘れてしまう人もいれば、何年も引きずってしまう人もいるように、ストレス耐性はその人の気質(先天的なもの)や学習(後天的なもの)で決まっているのです。分かりやすくいうと、全ての人が、さまざまな形や深さ、大きさのコップを持っているとイメージしてください。そして、そのコップに注がれる「水」が「ストレス」です。日々、生きているだけでもコップには水が溜まり続けており、その水は意図的にケアしなければ、自然になくなることはありません。そしてコロナ禍というものは、たとえ何もしなかったとしても、いつもよりも多く水が溜まってしまう状態なのです。私の場合は、自分のコップがおよそ600㎖くらいだとすると、コロナ禍のストレスで常に200㎖くらいは水が溜まっているイメージです。本来なら600㎖のキャパシティがあったものが、情勢によって400㎖しか使えなくなってしまう……この事実に気づくだみたらし加奈さんみたらしかな臨床心理士。大学院卒業後、総合病院の精神科にて勤務。現在はフリーランスとしてSNSを通して精神疾患の認知を広める活動を行う。女性のパートナーと共に「わがしChannel」というYoutubeチャンネルを運営。著書の『マインドトーク-あなたと私の心の話』(2020・ハガツサブックス)、Wezzyでの連載も人気。けで、〝自分のために変えられる行動〟があるかもしれません。たとえば「風邪をひいたかもしれないな」と感じた時は、温かくして寝てみたり、栄養ドリンクを飲んでみたり…と自分で対処できることが思い付きやすいですよね。でも何故かそれが「心」になってしまうと分からなくなってしまう方も多いのです。心と身体は繋がっているので、ゆっくりお風呂に入って身体を温めることや、生活習慣の改善は、風邪と同じく心にも効果的です。また瞑想やヨガなどは、自分の身体と向き合いながらも、心と対話をさせてくれるもの。気軽に取り入れられる瞑想のアプリなどもあるので、ぜひ試してみてください。「心の問題」というものは、「根性」でどうにかなるものではありません。そこにはあなたの体調や取り巻く環境、脳内物質や社会の情勢など、様々な要因が絡んでいます。もしも上記の対処法を試してみても、まだ「しんどいな」と感じるときは、是非とも心の専門家を頼ってみてください。身体の怪我や病気と同じように、あなた一人ではどうにもできないこともあるかもしれません。大切なことは「独りで抱え込まない」こと。持っているコップの大きさや水の量について考えてみた上で、あなたの心を置いてきぼりにしない方法と向き合ってもらえれば幸いです。7フォーラム通信2021冬春号


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