「フォーラム通信」2021年冬春号

横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2021年冬春号の特集は、「私、の夢」「コロナ疲れを感じているあなたに」です。


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私、の夢「女性の性が、当たり前に買われることがない社会になってほしい!」女性が常に性的に見られる社会3月に学校休校要請が出てから女の子たちの相談が急増。この半年で去年1年以上の相談数を超え、800人以上から相談があるという状況です。コロナの影響は長期化していて、親のリモートワークや失業などで家族が家に一緒にいる時間が長くなったことで虐待やDVのリスクが高まり、子どもたちが孤立しています。DV被害者の方も一緒だと思いますが、加害者と一緒にいる時間が長いと、外へのSOSが出しにくくなるんです。声を挙げられていない人がもっとたくさんいるんじゃないかなと思います。こういう状況の中、性搾取の状況1月からも深刻です。2018年の1夜の街で女の子たちをサポートする「バスカフェ」の活動を始めたんですが、2年間で1300人以上、10人以上の子たちが利用するこ回で4とも。家が安心して過ごせず、頼れる場所がなく孤立していってしまう子はすごく多いのですが、そういう子たちに声をかけてつながろうとしているのが、性搾取を目的としている人たちがほとんど。渋谷や新宿では毎晩、100人ほどの性産業のスカウトたちが女の子たちに声かけを7歳の子が店に連していて、先週も1れ込まれてしまったということがあったんです。スマホで「泊めてほしい」「家出」0分で数十人の男性とつぶやくと、1から援助者のふりをしたメールが山のように来ます。「援助交際」、「ブルセラ」、「パパ活」と言葉を変えながら、ずっと同じ搾取の構造がある仁藤夢乃さんにとうゆめの一般社団法人Colabo代表。中高時代に街をさまよう生活を送った経験から、困難を抱える10代女性を支える活動を行っている。夜の街で一人一人に声をかけ、あたたかい食事の提供、保護、住まいの提供などを行っているほか、虐待や性搾取の実態を伝える活動や提言を行っている。Colaboの活動を東京都と厚労省がモデルにした事業が開始予定。著書多数、TBS「サンデーモーニング」にコメンテーターとして出演中。のに、女の子たちが好きで体を売っている、自己責任だと語られる。そもそも、こんなに女性差別が深刻で、男女格差がある社会で本当の意味での自由意思なんて存在し得ないと思います。ある芸能人がラジオで、「コロナの影響で風俗に一般のかわいい子が流れてくるから楽しみ」という発言をしましたが、私たちの活動を学ぼうと話を聞きに来る学校の先生や行政の方々も「あの店行ってたのにそんなブラックだと思ってなかった」と自分が女性を買っていることを当たり前に話してくるんです……(怒)!。これだけ女性の性を買うことが日常になっていて、常に女性は性的に見られ、商品化されているのは悲しいですが世界一。日本の性産業やポルノが輸出され続け、海外でも「輸出大国」と言われています。人気芸人が、私たちの活動をパロディにし、お笑い動画を作ったということもありました。自殺対策支援の活動だったら、笑いにされないですよね。性暴力、少女の問題だからネタにされる。この問題がそれだけ軽く思われているということです。フォーラム通信2021冬春号6声を上げ、言葉にする最近、女性差別に声を上げていく人たちに対して、「それは男性差別だ」というやり方でその声を押しつぶしてこようとする人がすごく多いのですが、取材でも、「男性が嫌な気持ちにならないような言い方で」とか、活動を攻撃してくる人々とのやり取りを見て、「仁藤さん、炎上していますが……」と言ってくる人がいます。攻撃してくる人たちは、被害者や支援者に声を上げてほしくないから。「炎上」という一言で「どっちもどっち」という構図にあてはめることは、声を上げにくい社会にしてしまう。そして、性搾取は明確に加害者の問題。言葉にしないと、被害にあった子どもたちは自分のせいにしてしまうんです。「ついて行った私が悪い」、「断れなかった私が悪い」とみんな言います。「違うよ、それは加害者の大人が悪い」、「それは暴力、人権侵害」としっかり言ってあげないといけない。女だから当たり前のように低く見られて、性的に見られるような今の社会は自分の権利、尊厳がだれかに侵害されたり性的に消費されている状態。そういうことがない社会になれば、本当の意味での主体的な人生を女性たちが歩めるはずです。現状は変えていける、あきらめないでいきたいですね!


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