「フォーラム通信」2021年冬春号

横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2021年冬春号の特集は、「私、の夢」「コロナ疲れを感じているあなたに」です。


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子どものころ、ほんの2歳ぐらいから、ぼくはどちらかのジェンダーに自分を割り振られることがくるしくて、「おかまです」なんておどけてみたり、反動で閉じこもったりしてきました。歳を超えて、ようやくノンバイナリー※という言葉に出会いましたが、もうすこし早く、すぐ目につくよ30うなところに、そんなあり方を肯定する言葉や、知識に触れる機会があったらよかったのにな、と思います。だからぼくの夢は、なんでもなくなること。これからさらに、もっともっと、なんでもなくなること。そしてなんでもない、ということを、肯定される世界を生きること。エッセイスト少年アヤさんなんでもなくなること。これからさらに、もっともっと、なんでもなくなること。そしてなんでもない、ということを、肯定される世界を生きること。私、の夢しょうねんあや1989年生まれ。自身の過去や、セクシャリティについて綴ったエッセイを主に執筆。著者に「ぼくの宝ばこ」(講談社)、「なまものを生きる」(双葉社)、「ぼくは本当にいるのさ」(河出書房新社)など。※注ノンバイナリー:自分自身について、男性、女性の両方が混ざり合っているように感じたり、男性と女性の中間にいるように感じたりすること。産婦人科医緊急避妊薬を薬局でプロジェクト共同代表えんみちゃん(遠見才希子)さん日本ではたとえ知識があっても、利用可能なシステムが整っておらず選択肢が少ないため、「自分の体のことを自分で決める」ことができません。この夢は、世界から遅れる日本に山積するSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ:性と生殖に関する健康と権利)に関する課題解決の突破口になると信じています。えんみちゃん(えんみさきこ)神奈川県出身。大学時代より「えんみちゃん」のニックネームで全国700カ所以上の中学校や高校で性教育の講演活動を行う。産婦人科医として病院勤務の後、筑波大学大学院社会精神保健学分野博士課程に在籍し、性暴力や中絶について調査研究を行っている。著書「ひとりじゃない〜自分の心とからだを大切にするって?〜」(ディスカヴァー21)、DVD教材「自分と相手を大切にするって?〜えんみちゃんからのメッセージ〜」(日本家族計画協会)。緊急避妊薬を薬局で安く入手できる社会にすること困っていたり悩んでいる女の子が助けを求めやすい社会に!BONDプロジェクト代表ルポライター橘ジュンさん女の子たちへのネット、SNSでの被害が深刻化しています。「家に泊めてあげる」「一緒に死んであげる」等、誘い込む大人が後を絶ちません。2020年、ずっと目標としていたカフェ型の居場所スペースを横浜にオープンすることが出来ましたが、私たちのもとに来る相談は全国から。こういった拠点も全国に作っていきたいです。また、加害者向けのプログラムについても、いろいろな方と連携し充実させていきたいです。5フォーラム通信2021冬春号たちばなじゅん2006年、街頭の女の子の声を伝えるフリーマガジン「VOICES」を創刊。これまで少女たちを中心に3,000人以上に声をかけ、聞き、伝えている。2009年、NPO法人BONDプロジェクトを設立。虐待、家出、貧困など様々な困難を一人で抱えてしまう女の子に寄りそう「聴く、伝える、繋ぐ」を活動中。その日、行き場所のない女の子のために街のパトロールや保護活動も行なう。TV、新聞などへの寄稿、出演多数。著書に『漂流少女〜夜の街に居場所を求めて〜』(太郎次郎社エディタス)、『最下層女子高生〜無関心社会の罪〜』(小学館新書)等。


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