「フォーラム通信」2020年夏秋号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2020年夏秋号の特集は、「私、のなやみ」「自分のためのこころとからだのメンテナンス」。


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回答者2カナイフユキ私、のなやみ●プロフィールかないふゆきイラストレーター・コミック作家エッセイなどのテキスト作品や、それらをまとめたZINEの創作も行っている。作品集『LONGWAYHOME』が発売中。8月後半にSUNNYBOYBOOKSにて個展開催予定。『LONGWAYHOME』(SUNNYBOYBOOKS)Q1代男性20人生が前に進まない。何も景色が変わらない。何に対してもやる気が起きない。頑張って働いても給料は低いし、この先、良くなるとも思えないのに、年金の支給は遅い。給料もそこそこ、結婚して、子どもが産まれ、持ち家を買って……これまでは、パッケージ化された人生設計があったけど、今の若い世代はどれも手にするのが難しい。不安しかない。A1まず、経済的な悩みと、人生は自分主体で生きないと前に進まないという問題が絡んでいるように思います。仮に豊かな時代に生きてもパッケージ化された人生設計をなぞるだけでは虚しいでしょう。「○○の仕事で○○万稼ぎたい」「〇〇だから〇〇な人と結婚したい」と具体的な目標と計画を立て、それを人生設計にすればやる気も起き、景色も変わると思います。給料が低くても問題ない可能性もあります。自分の欲求を再点検すると良いと思います。その上で、目標達成が経済的ハードルに阻まれてしまうというのが現代の問題だと思います。かつては多くの人がなんとなく共通の人生設計を描けたのかもしれませんが、今は経済的に難しい上に、他の人生設計を考えるにしても資本が足りないという人が多いですよね。私は相談者さんと同世代なのでこの貧しさが理解できるのですが、上の世代にはそうでない人も多いようで悩ましく、世間全体に問題意識を持って欲しいと思っています。これは我々世代の課題として取り組まなければならないのかなと思います。多くの男性にとって自分の収入の話をするのは抵抗があるかもしれませんが、経済的な困りごとを臆せず話題にして、問題意識を共有していくことから状況を変えていけるのではないかと思います。ちなみに、私はそうした社会問題を作品に取り入れることで少しでも状況改善に協力しようとしていますが、果てしない道のりなので常にやる気に燃えています。代女性Q230新型コロナウイルスの一件を通して、「おかしい」と思うことが多く、はじめて政治と自分の暮らしは地続きだと感じました。先日、職場の昼休みに、具体的な政党や政治家の名前を出しつつ自分の考えを話したところ、先輩から「職場でそういう話をするのはあまりよくないよ」とたしなめられ、傷つきました。「選挙に行こう」と学校では習うのに、何で大人になると政治の話はNGに?A2個人的にはコロナの問題の後、政治の話は避けて通れなくなる気がしているので、相談者さんは進化、先輩は退化しているのではと思ってしまいます。とはいえ、すぐに世の中の風潮が一変するわけではないので、対処法として職場の外に政治の話ができる友人知人を作るのはいかがでしょう。デモの現場やSNSでも政治に関心のある人と知り合えると思いますし、また、趣味のサークルなどに参加する手もあります。趣味を大切にする人は自分の生活を大切にするためか、政治にも関心のある人が多いように感じます。僕のよく関わっているZINE(個人出版物)のシーンや、本好きの人が催す読書会などには政治の話題を避けない人が多い印象です。職場というのは学校みたいなもので、意外と気の合わない人たちが詰め込まれた空間ですよね。政治など摩擦の多い話題を避けてしまうのは残念ですが理解できます。しかしだからこそ、先ほどの提案とは矛盾してしまうのですが、あえて積極的に職場で政治の話をして、NGを打ち破っていくべきだとも思います。日本では無関心こそクールだという風潮があり、政治の話題も避けられがちですが、おっしゃる通り政治と暮らしは地続きなので、暮らしを守るために無関心ではいられない状況に今の私たちはいると思うのです。「おかしい」と思ったら遠慮せず、小さくても声を上げ、仲間を増やしていただきたいです。無関心なムードを少しずつでも変えていきましょう。フォーラム通信2020夏秋号4


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