「フォーラム通信」2019年夏号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2019年夏号の特集は、「私、の話」。新連載は「まだ名前の無い◯◯」、「地球で生きてる私たち」。


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私、の話 Personalispolitical!くらし=政治私たち一人一人のくらしは「政治」と直接つながっている。なぜなら国が作った法律や自治体の条例は日々の生活のルールを決めることを意味しており、私たちの生活はそのルールに大きく影響されるからだ。教育、医療、環境、子ども支援など、くらしに直結する分野にどれほどの予算が配分されるかも政治によって決まる。社会には、女性、高齢者、外国人、子ども、障がいを持つ人々が一緒に生きているため、政治はこれらの人々のニーズを汲み取って政策を作らないといけない。しかし、日本の政治は極めて同質の男性メンバーによって行われているのが現状だ。日本の国会・内閣では「男性」「高齢」「高所得」「2世・3世議員」が大多数を占める。多様な人々が暮らしている社会の有り様と国会の有り様は大きくかけ離れているのである。最大のマイノリティともいえる女性は衆議院で0%程度。今年の統一地わずか1方選挙の道府県議会の女性候補者の割合も過去最大とはいえ、.7%(3062名の中389名)に留まった。女性や社会的マイノリティ住民の政治への12参画率がこれほど低いのが、女性にとって生きづらい社会が続く原因の一つではないだろうか。女性の政治参画女性の政治参画の歴史はまだ“個人的なこと”は“政治的なこと”関係あるかも?私、と政治浅い。女性が参政権を獲得した0世紀の初めのは、早い国では2頃から第1次世界大戦前後で(ニュージーランド、豪州、北欧諸国、ロシア、ポーランド、イギリス、アメリカなど)、日本を含めてフランス、イタリア、チリ、韓国などのほとんどの国は、第2次世界大戦が終わった後、女性に参政権を与えた。アフリカの旧植民地国家やスイス0年以降になって女性になどは6参政権が与えられた。しかし、女性の参政権獲得がそのまま政治参画につながったわけではな0年代頃まで、北欧を除いい。8て世界の国々では概ね日本と同様、政治は男性が独占してい0年代以降急速に変た。それが9化し、今は男女が均等に参加する社会に変わっているのである。男女が均等に政治に参画す申きよんShinKiyon政治学博士。お茶の水女子大学ジェンダー研究所准教授。女性の政治リーダー養成のための一般社団法人パリテ・アカデミー共同代表。学術雑誌「ジェンダー研究」編集長。研究分野はジェンダーと政治・フェミニズム理論・#MeToo運動・夫婦別姓など。近年は、日本、韓国、台湾の研究者らと議会における女性の政治代表性の国際比較研究を行っている(WondeR)。主な研究論文に、「女性政治リーダーをどう育てるか?——政治分野における男女共同参画推進法の活かし方」「都市問題」(2019年1月号、三浦まりと共著)など。ることができるように「クオータ」制度(候補者の一定割合を女性やマイノリティに充てる)や「パリテ」法(候補者等を男女同数にする法律)を積極的に導入した結果だ。他の国では?0%から4例えば、近隣の台湾では、クオータ制導入によって女性議員0%に、韓国で比率が17%に増加しは3%未満から1た。世界1位のルワンダも、憲法でクオータの根拠をおき、女1.3%に至った。内性議員が6閣の大臣を男女同数(パリテ内閣)にする国も増え、20180カ国でパリテ内閣年には世界1が現れた。カナダでは、2015年に、男女同数のみならず、移民出身や少数民族代表など、国の多様な価値や人々を反映する内閣が構成されて話題となった。これらの国においても、女性の進学率や就業率に比例して自然に女性議員が増えるわけではなく、積極的な措置があって可能となったのである。世界各地の取り組みによって、現在下院の女性議員比率の世界平4%にまで均はようやく2上がった。自分らしい政治への参加の仕方を見つけよう日本では、2018年5月に「政治分野における男女共同参画推進法」が成立した。政党に男女候補者の数を「できる限り均等に」することを促す法律である。しかし、4月の選挙結果が示すように1回の法律成立で目標を達成させることは不可能である。パリテ法で知られるフランスでも、憲法や法律を何回も改正し、8%ようやく下院で3を実現した。日本にとって、この法律の成立は女性議員増加への第一歩になることは間違いない。ただし、4月の統一地方選挙で%にあたる371の選挙区で定員を超える立候補者がなく、無投票の当選者は612人(議員7%)で過去最高だったことはの2どれだけ政治が市民の関心から離れたものなのかをもの語る。8%、上院で439いきなり候補者にならなくても、投票に行くことや議員や政党をウォッチすることも大切である。定住外国人など参政権が持てない住民も一緒に暮らしている生活空間で、私たちはみんな自分らしい政治への参加の仕方を見つけ、よりよい社会を作ることに力を合わせていくことが求められている。7フォーラム通信2019夏号


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