「フォーラム通信」2019年夏号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2019年夏号の特集は、「私、の話」。新連載は「まだ名前の無い◯◯」、「地球で生きてる私たち」。


>> P.6

私、の話 Personalispolitical!本和奈amamotoKazuna山Y「VUJ」代表。「EducateFor」代表。「JustSmile」代表。アクティビスト。国際基督教大学在学時に、「週刊SPA!」へのアクションを行う。影響を受けているのはMayaAngelou、MichelleObama、EmmaWatson等の女性は強くあっていいという考え方を推すインフルエンサーたち。夢は、Forbesで世界を代表する起業家になること、「EducateFor」の拠点を世界中に作ること、国連大使になること。「女の子なのに……」って、何?女性として生きていると、日常的に、男性より下に見られる感じがします。私は起業をしているのですが、その話をすると、「女の子なのにすごいね」とよく言われ、それがすごく嫌です。そ〝なのに〟は何?って思います。の「週刊SPA!」と医学部入試の件が発覚した時は、正直、ショックでした。医者という人を助ける仕事に女性も男性も関係ないはず。しかも、女性を入試で不当に差別した理由が、産後の職場復帰ということであれば、それは女性個人の問題でなく、復帰しにくい社会の課題。入試で差別する前に、そちらを改善するべきですよね。「週刊SPA!」への抗議前から日本での性差別にはあきれていて、言い出したらキリがないからこそ、今回も何かするつもりはなかったんです。でも、同じ大学生として、このまフォーラム通信2019夏号6ま「炎上しただけで何も変わらない」というよくある事態になってほしくなくてネット署名を呼びかけ、出版社に抗議することにしたんです。ネット署名は多くの人に早くリーチでき、結果的に、本当に多くの署名が集まりました。性差別や女性のエンパワーメントに賛同してくださる方がこんなにも多いと知ってとても嬉しかったですし、「勇気をもらった」、「私たちも声をあげる」というメッセージもたくさんいただきました。一方で、アクションの後に起きたことは、出る杭は打たれる」そのもの。海外かぶれ」、誰だよお前」、嫌だったら日本から出て行け」……女性のアクションそのものに偏見を持っている人の多さにも、びっくりしました。意見を持って語り合うことは「普通」のこと同世代では、そもそも社会の課題に興味のない人や、意見のある人に対して「意識高い」とラベルを貼る人たちが多いと感じます。格差や不平等の現実におかしいとは思っていても、声をあげると就職に不利になる?とか、自分の立場が危うくなると思ってしまうのかも。声をあげずらい社会の空気に問題があると思います。留学していたチリやよく訪れるペルーではウィメンズマーチなどのプロテスト(抗議)やストライキは日常的。南米は日本と発展のレベルは違いますが、共通しているのは格差社会であることです。日本は豊かな国ですが、目に見える格差が少ないだけで、椅子取りゲームのような現状だからこそ、「自分さえよければ」という考え方になっているのでは。南米も間違いなくまだまだ男尊女卑な社会ですが、それに対しおかしいと思い、表現する女性や男性は、日本より明らかに多いと思います。そもそも、南米だけでなく世界のどこでも政治について話すのは普通で、日本は異常なぐらい若者が政治に興味がないし、社会問題やジェンダーの問題自体を避ける傾向にありますよね。みんなが生きやすくなるには一番難しいことは、身近な人に対し声をあげることですよね。つらい時は、周囲に助けを求めていいし、同じ意見を持つ仲間を探してみて下さい。私もそのためにVUJ(ボイスアップジャパン)を立ち上げたんです。このコミュニティーでは誰でも発言できる「セーフスペース」を作っています。仲間を見つけられたらそれが希望や支えになると思います。上の世代の方には、どうか次の世代を応援して欲しいです。「これが昔からのあり方だから、次の世代も同じくあるべき」という意見をたくさん耳にしますが、「私たちも苦しんできたことを一緒に無くそう、応援するよ」とサポートしていただけると嬉しいです。そして、一人一人、自分を大事に、自分をリスペクトしてほしい!相手がどう考えているのかを考えすぎず、「どう思われてもいいや」ぐらいのスタンスの方が幸せになれると思います。怒ったっていいし、嫌なことを嫌だって言ってもいい。自分を大事にしてくれない相手や場(学校、会社)、どれだけ話し合っても話が噛み合わない人とは、関わりを断つことも大事。それは、負けではありません。「週刊SPA!」問題2018年10月、男性向け情報誌「週刊SPA!」(扶桑社)が「ヤレる女子大学生RANKING」と題した記事で“性交渉しやすい学生の在籍する大学”を順位付けした。山本さんたちは「女性を軽視した出版を取り下げて謝って下さい」とネット署名を呼びかけ、5万2千人以上(!)の賛同を集めた。その後、同編集部へ抗議の声を届けると共に対話の場を設定し、「性的同意」の視点がある記事の掲載と、メディアで働く人々こそ社会を良い方向に動かす意識を高めてほしいと伝えた結果、同編集部は謝罪し、3/12号で「性的同意」についての特集を掲載した。ネット署名社会を変える新しい手段として、誰でも気軽に参加できることから利用者は増えている。個人や市民グループが企業や政府など大きな存在に働きかけ、社会を動かした成功実例は多い。山本さんらが利用したのは「Change.orgチェンジ・ドット・オーグ」日本版。こうなったらいいな、という社会にするためにおかしいことはおかしい、嫌なことは嫌だって言おう


<< | < | > | >>