「フォーラム通信」2019年夏号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2019年夏号の特集は、「私、の話」。新連載は「まだ名前の無い◯◯」、「地球で生きてる私たち」。


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私、の話 Personalispolitical!「マリーモンド」のグッズの数々。売り上げは戦時性暴力被害女性や虐待被害児童への支援に使われる。時、地下鉄の駅や街中に大きな一面広告が出ていて、「マリーモンド」のことを知ったんです。戦時性暴力被害者をそれぞれのテーマの花にデザインしてスマホケースやバッグなどのグッズにしているソーシャルビジネスのブランドで、デザインもコンセプトもすごく素敵なんです!BTSとか人気アーティストが身につけて話題になったり、大成功していて。運動って常に一番大変な人が闘いを求められる。でも、それと一緒に#with youだよって言う人たちがいるのが今の韓国。常にいい社会を作っていこうっていう考えをみんなが共有できる教育もある。わたしたちの未来・希望0〜2堅田に、12017年から仲間と一緒0代の若い人を対象にした「ふぇみゼミ」という学習会をやっています。そこに来る若い子たちは、めちゃくちゃ元気で、すごく希望を持ちます。でも、もしかしたら、普段なかなか元気に話せないから、この場ではそうしてるだけなのかもしれない、この場を出たらどうなんだろうと気になっていて。誰でも、安全な場所が保障されていれば元気に発言できる。これって人権の基本的なことだと思います。女性って、今、社会を生きているだけで危険地帯を歩かされている。どこにいっても危ない。そういう状況の中で、「言えない」っていう人たちの気持ちもすごくわかるから、できるだけ色々なところにセーファースペースを作って、気付いたら社会のあちこちに出来ている、みたいなのがいいなあって。そういうポテンシャルを「ふぇみゼミ」を受講してくれている子たちが持っていて。尊敬してます。北原ここも、ぜひ、使ってほしい!堅田ほんとですか?うれしい!北原私が会社をつくったのは経済のことも大きいけど、やっぱり女性が安心できる場所がほしいという思いも強かったので、思い切ってリフォームして、シェアスペースにしたんです。性暴力被害者や情報がなくて困っている人が安心できる場として使ってほしいなと思っています。今、日本でも自分でものを考えて判断しようとする若い世代が増えてきているのを感じています。「週刊SPA!」へ抗議した子たちもそうだし、何かおかしいなって思った時に、とりあえず声をあげたり、あきらめない力があって頼もしいです。日本では売れないよね、細々とやっていこうと話していた「マリーモン堅田香緒里かただかおり法政大学社会学部教員有志で「ふぇみゼミ」20代までの場)、ゆるふぇみカフェ」(参加者の年齢は問わず)など、大学外での学びの場、安心して話し合える場の運営もしている。共書に『お金のために働く必要がなくなったら、何をしますか?』(光文社新書)、『ベーシック・インカムとジェンダー』(現代書館)など。現在、「仕事文脈」タバブックス)で連載を持っている。本当にそう思います。プラド」も、こんなに売れるとは!希望がありますよね。みんなでつながっていくために、声をあげた人たちに注目して応援する人も大切。#with youだよ!と、世代を超えて縦につながっていきたい。堅田ス、横のつながりも。「ふぇみゼミ」でも大事にしているのがインターセクショナリティ。差別の交差性です。ジェンダーの問題だけじゃなくて、階級とか、障がいとか人種とかいろんな問題が複合的に交差し合っているので、そういう視点を大切に、やっていきたいですね!北原日本では、正義という言葉を冷笑するような空気があるけれど、不正義を強いられている側の声を聞くことが正義なのだと私は思います。これから、みんなで一緒に、フェミニズムの言葉がちゃんと届くような社会にしていきたいですね。(注1)「東京医大の件」東京医科大学が女子学生等の入試での得点を不正に操作し、不合格にしていた事件。その後、他の複数の医大でも同様のケースが発覚した。(注2)『82年生まれ、キム・ジヨン』・『私たちには『8ことばが必要だ』2年生まれ、キム・ジヨン』筑摩書房)は韓国で100万部を超えるベストセラーとなった〝フェミニズム小説〟。日本でも、2018年冬に翻訳されるやいなや、翻訳小説として異例の13万部を売り上げ中。『私たちにはことばが必要だ』(タバブックス)は性差別に直面する女性たちのための〝日常会話のマニュアル本〟。韓国で実際に起きた事件を機に、9日間で書き上げた著者がSNSで仲間を集め、出版社を立ち上げ刊行した韓国フェミニズムムーブメントの勢いを表す一冊。日本でも、各地で読書会が開かれるなど、話題を集めている。5フォーラム通信2019夏号


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