「フォーラム通信」2019年夏号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2019年夏号の特集は、「私、の話」。新連載は「まだ名前の無い◯◯」、「地球で生きてる私たち」。


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私、の話 Personalispolitical!フォーラム通信2019夏号4北原みのりきたはらみのり作家・ラブピースクラブ代表『日本のフェミニズム』(河出書房新社)、『メロスのようには走らない。』(ベストセラーズ)等、著書多数。「週刊朝日」、「AERA」での連載にもファンが多い。韓国のフェミな動きを取材した新刊を話題のフェミニズム出版社エトセトラブックスより刊行予定。韓国の社会的企業「マリーモンド」日本版の運営代表もつとめている。実はそういうもので、中心で誰かが旗を振ってそれについていくというものではなくて、動いているひとりの女の声であったり、その集合体であったり。堅田日本の場合、ハードルが高い。「私なんてフェミニストって言えない」、そう思わせてしまうものがあったと思うんです。そうじゃなくて、「今、困ってる」とか、「これっておかしいと思う」とかを身近な人に言えるかどうか。で、言った時に「そうだよね、私も」って共感してくれたら、それって一つのフェミ!なんじゃないかな。すでにみんながフェミニスト!北原さんのように発信できる人はすごいけど、みんながそうなる必要もないし、なれない。でも、日常の中で、ニュースを見て、これ、自分と地続きの問題だって感じてる人って実はいっぱいいると思うんです。それを少しでも共感し合う、言っていいんだ、私も……!ってすごく大事。暴力や被害を告発することもそうだし、自分がこういうものを欲している、と言うこと自体が抑圧されてきたから、品行方正なフェミニストになる必要なんかない。北原フェミって何だろう。東京医大の件(注1)が発覚した時、毎日、すごく大変で。文科省の役人に会いに行ったり、集会やったり、記者の人に話したり、被害者の話聞いて、弁護士と会って……。何でこんなことやってるんだろうってふと、思って。しかも、記者にも「何でやってるんですか?当事者ですか?」って聞かれて。じゃねーよ!受けてないよ、医学部(笑)。堅田(爆笑)北原その時、自分でも滑稽だな、って思って。支援の会を立ち上げたみんなで、グループ名を「滑稽ズ」にしたんです(笑)。自分のためではないことで、苦しんでるし泣いてるし。でも、フェミってそういうことなのかな。おとなりの国の女性たちは、今北原今、韓国の女性たちとムーブ2年生まメント、すごいですよね、『8れ、キム・ジヨン』、『私たちにはこ中絶にお金がかかるんだろう。海外の話を聞くと、ピルで中絶できる時代なのに、何で私たちにはそれが無いんだろうって。遠い話じゃなくて、近い話で想像できる状況がある。日本で生きてる女たちは、みんな、すごく我慢してる。声出してもきっと誰も聞いてくれない。信じてもらえない、認めてもらえない、ってあきらめてる。そんな中で、信じるよ、声あげても大丈夫だよ、一緒に戦うよ、という声がフェミニズムなんだなって、私、思ってます。最近、韓国のフェミニズムをずっと調べているのですが、びっくりするくらい「リーダー」がいないんだよね。誰がリーダーですか?って聞いたら、誰もいないって。堅田北原かっこいい!そうなの、フェミニズムってとばが必要だ』(注2)、読みましたか?東京医大のニュースの前日まで、取材で韓国の釜山に行ってたんです。釜山は韓国の民主主義やキャンドル革命発祥の地だと自認している都市で、その釜山の街が一望できる山の上に民主主義博物館があるんですが、そこには市民の抵抗の歴史が残されています。そこで、民主主義0年代の労働運動の始まりとされる8運動の記録の中に、経営者に声をあげた女の労働者たちが闘う写真を見たんです。一緒に行った大学の先生は、学生に必ずそこに行くようにと授業で課題にするんですって。遠いし坂の上にあるので、学生たちは行くのを面倒くさがるんだけど、帰ってくると、「先生、民主主義って美しいんですね」と言うんだって……すごく、いい話でしょう!今回の韓国の取材は、民主主義の根幹にフェミニズムがある、と思えるような取材でした。戦時性暴力被害者の声、一番弱く聞かれてこなかった側の声を聴くという民主主義の基本が、韓国の今を作ってきているなってことがわかって。だから次の日、東京医大のニュースを聞いて、これは行かなきゃなって(笑)。堅田これが「滑稽ズ」につながっていくんですね〜、いい話!反フェミニズム的な民主主義なんてありえないって話ですよね。北原2017年にソウルを訪れた


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