「フォーラム通信」2018年春号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2018年春号の特集は、「世の中は“息苦しく”なっている?」


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特集世の中は息苦しくなっている? TV・CMの炎上をめぐって︱ 〝保毛尾田保毛男〟批判に対して「息苦しい」という意見もありました。この程度のネタすら許されないのであれば、世の中から笑いが消えるんじゃないかと。これについてはどう思いますか。 卑怯だと思います。これからどうなるかはまったくの仮説です。息苦しくなるか、笑いが消えるかはだれにも分かりません。DVの加害者が「お前なんか一人で生きていけると思っているのか」と言ってくるように、脅しで支配しようとしています。 LGBTQには〝ドラァグ〟とい#LGBTQ#ドラァグLGBTはレズビアン=女性同性愛者(L)、ゲイ=男性同性愛者(G)、バイセクシャル=両性愛者(B)、トランスジェンダー=身体上の性別に違和感を持った人(T)の略。性のあり方は多様で、どれか一つにあてはまらない人もいるため、すべてを含んだ意味のある言葉Qを加えてLGBTQと表現する。派手なメークやドレス、ハイヒールを身に付けた女装など、ジェンダーの規範を大げさに表現するパフォーマンス。異性愛者や女性の場合もあり、その様態はさまざま。♯世の中は 息苦しく なっている?う文化があります。米国の黒人やラテン系のゲイ男性、MTFトランスジェンダー(MALETOFEMALE 出生時に割り当てられた性別は男性だが性自認は女性)、あるいはその他のあり方のトランスジェンダーの人々の、当時虐げられていた状況から生まれた文化です。どのような状況でも人は文化や笑いを作るということの一つの例だと思います。 で、「息苦しい」かというと、そりゃあちょっとは息苦しいと思う人はいるでしょう。うーんでも⋮︱ でも? いやあ正直、それぐらい我慢しろよと思っちゃいます(笑)。今、息苦しい人たちがいるのだから。すでにある息苦しさや痛みの軽減のために、ちょっとそれはやめてくれないかと言っているわけです。だから息苦しいとか⋮︱ 息苦しいとか? 笑っちゃうよねーって(笑)。「痛いから殴らないで」って主張しているのに、「殴る権利を奪うな」と言われているようで。 私と母はダイニングバーFATCATSを始めるとき、〝すべての人にとって居心地のいい場所をつくる〟というありがちなコンセプトはやめにしました。人と人が出会う場では、お店のようなミクロな場でも社会全体でも、ある程度のストレスは避けられないと思うから。 皆が息苦しさを平等に分担できればいいと思います。何も考えずにお店をやったら、弱い立場のお客さんだけがそれを負担することになる。#FATCATSBAR&GRILL群馬県館林市にあるダイニングバー。車いす入店&着席可、点字・英語メニューの用意、相談窓口などの情報展示、多目的トイレ、女性限定イベント等、多様な利用者が安心して過ごせるよう工夫をしている。社会の縮図ができるだけです。独身なの? 結婚しないの? 子ども作らないの? 今日すっぴんなの? といった会話はあちらこちらにありますよね。だから、仮に自分の思うままに発言できないことに「息苦しさ」を感じるならば、それでいいじゃない、それがあなたの負担分ですよと思うわけです。5 フォーラム通信2018春号


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