フォーラム通信2017秋号

公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会の男女共同参画センターは、女性の仕事・起業・心とからだの健康支援・DV相談・セクハラなど性差別の申出・パソコン講座、子育て支援等の事業、施設貸出を行っています。フォーラム通信は、号ごとにテーマを定めた特集やくらしに役に立つ情報を盛り込んだ情報誌(無料)です。


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特集オンナの欲望 少女マンガでたどる30年『東京ラブストーリー』から『逃げ恥』、『プリンセスメゾン』まで分の人生を自分で面倒見る、ただそれだけのことにすごく大きな意味があるんだと教えてくれる、本当にいい漫画です。︱今の自分を大切にしつつ、夢も手放さないと。 そうです。沼ちゃんのバランスが取れた欲望のあり方は、先行き不透明な今を生きる私たちのお手本になると思います。 『プリンセスメゾン』は王子様が不在の物語です。少女マンガはシンデレラストーリーの焼き直しになる危険をはらんだメディアであり、作者はそれをどうやって乗り越えるかを常に考えています。『タラレバ』の女たちは、心のどこかでシンデレラストーリーを信じていて、だから苦しいのですが、沼ちゃんはそもそも苦しんですらいません。幸せは、だれかから与えられるものではないと分かっている。脱・呪いですよ。『逃げ恥』『タラレバ』が呪いの存在をきちんと描いたからこそ、呪いの刻印がどこにもない、この作品の素晴らしさがよりよく分かると思います。 そうそう、本作がドラマ化されたときは、沼ちゃんのマンション購入をお手伝いする生真面目な男・伊達さんをあの人が演じたんですよね。(二人)高橋一生! 伊達さんは一見すると王子様のようですが、では沼ちゃんと付き合うのかというと、そうじゃない。あくまで理想のマンションを買うためのベストパートナーです。少女マンガが陥りがちな、安易に恋愛に持って行ってしまう展開を回避していますよね。 ディズニー作品だって『シンデレラ』に始まり『アナ雪』『美女と野獣』まで、どれだけヒロイン像が変化したか。王子様に選ばれて満足、ではないヒロインは、過去の作品をアップデートすることで生まれてきました。︱ここまで作品を見ていかがですか。 どの作品も、それぞれのやり方で女性の地位向上に貢献してきたと感じます。『東京ラブストーリー』は、最終的にシングルマザーとして生きることを決めたリカの姿を肯定していたし、『セーラームーン』は、女の子がかっこよく戦う姿を生き生きと描いている。『ヘルタースケルター』『ハッピー・マニア』のように、やりたいことを思うままにやる女がいたっていいじゃないか、と主張するものもあれば、呪いからは逃げていいと教えてくれた『逃げ恥』、王子様なんかいなくていい、不相応と言われても夢をみようと誘いかけてくる『プリンセスメゾン』⋮それぞれに魅力があります。︱改めて、少女マンガの魅力とは何でしょう。 いろいろな作品にふれることで、自分を多面的に肯定できるようになることだと思います。私のこういう部分を、赤名リカが、シゲタカヨコが、みくりが、沼ちゃんが共有していてくれる。だったら私は今のままでいいんじゃないかと思える。そんな効果があるのではないでしょうか。 大人になってからの方がマンガはおもしろいですよ。皆さんにも、ぜひ、いい作品と巡り合ってほしいと思います。『プリンセスメゾン』(小学館)既刊4巻作者:池辺葵 連載開始:2014年年収250万の独身女子沼ちゃんの夢は、コツコツ貯めたお金で自分の家(マンション)を手に入れること。沼ちゃんのひたむきな姿に心を打たれた持井不動産のスタッフたちは、親身になって物件探しを応援する。2016年、NHKBSでドラマ化。2011(平成23)2013(平成25)2015(平成27)2017(平成29)東日本大震災発生「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関」(UNWOMEN)発足横浜市DV相談支援センター開設「DV防止法」改正(適用対象を同居する交際相手に拡大他)「ストーカー規制法」改正(メールを規制対象に追加他)「女性活躍推進法」公布「男女雇用機会均等法」および「育児・介護休業法」改正(妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置の義務化他)2010S7 フォーラム通信2017秋号


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