001【表紙~本冊】横浜連合婦人会館史 100年のバトンを受けとる

「横浜連合婦人会館史」100年のバトンを受け取る(公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会)


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きことであると存じます。仮に鎌倉以後武門の政治とならずして、女性が相変わらず社会に活動する世であったならば、恐らく我邦の社会事業は世界に比類なき進歩をしておったであろうと想像されるのであります。されば武門政治の圧迫から解放された現代の女性はもちろん、奈良朝、平安朝女性の遺業を再興して、これに応えなければならぬ義務を持っておらるることは当然のことと存じます。ただいま申し上げましたのは一般の結論でありますが、私は特にただいま御列座の横浜婦人の皆様に望まなければなりませぬのは、過般の震災後私も復興会に関係しました時、このように考えたのであります。横浜復興の要件は種々ありましょうが、少なくとも勤倹を実行するということは一大要件であります。この節約ということはいかにして実行すべきかと言いますと、その大部分はやはり婦人方の努力によるの最大急務なることを考えましたために、当時幾度も皆様にご会合の機を得ましてお願い致したいと思いましたが、ついにその機会を得なかったのであります。目下復興のため急務なる施設は着々取り運んでおりますが、将来ややもすれば弛緩せんとする心を緊縮せしめ節約、勤勉を励行するは最も必要なる時機となりました。私どもよりお願い申すまでもありませんが、皆様がこの未曽有の大事変に際してあたかも和気広虫が大飢饉という動機に際して大慈悲心を発したるがごとく、皆様がこの事変に際してまた大勇猛心を発揮せられて種々なる方面より復興の事業に協力せられんことを希望して止まんのであります。29横浜連合婦人会館落成式式辞原富太郎氏


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