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専業主婦10年を経て、キャリアをリスタート。 フリーで活躍するヨガ・インストラクター
専業主婦10年を経て、キャリアをリスタート。
フリーで活躍するヨガ・インストラクター
ヨガ・インストラクター 神田尚子さんKanda Hisako
- 取得資格 特技
- スワミ・ヴィヴェーカナンダヨガ研究財団認定ヨガ・インストラクター
全米ヨガアライアンス500修了 - わたしの強み
- 楽観力
- このしごとに必要な力は?
- 柔軟性、共感力、創造性
- 年齢
- 45歳
- 家族
- 夫、成人した娘3人
「やりたいこと」が見つからない専業主婦時代
高校を卒業後、あまり真剣に将来のことを考えずに調理師専門学校へ進みました。専門学校の授業では、まるまる1羽の鳥の羽をむしったり、活きたコイをさばいたりと、当然ながら本格的な内容で。私には向いてなくて、卒業はしたものの、調理師にはなりませんでした。その後、アパレル会社に勤めて洋服店で働き始めたのですが、正直、「やりがい」を感じるところまではいきませんでした。
親には堅実な道を歩めと言われて、いろいろ考えていた矢先、夫と出会って21歳で結婚、22歳で第一子を出産。それから、続けて二人産んで、子育てで早々にキャリアの道は絶たれてしまい、10年近く専業主婦生活を送りました。
30歳になって、そろそろ何か考えないとまずいなと思ったのですが、その「何か」が見つからない。そのまま4年が過ぎて、さすがに、34歳のとき、ここで決めなかったら、もうダメなんじゃないかと焦りました。でも、何をしていいかわからない。
「やりたいこと」が見つからない専業主婦時代
ちょうどそのころ、カウンセラー経験のあるアメリカ人の友人が3ヵ月ほど自宅に滞在することになりました。彼と話していると、自分の常識とはずいぶん考え方が違う。文化の違いを目の当たりにして新しい空気を感じて。彼に聞いたらいい考えが浮かぶかもしれないと思って相談すると、やりたいことを紙に50個、無理だったら30個書いてみるといいとすすめられました。紙とペンを渡されて半強制に(笑)。
それでも、何も浮かばない。そうしたら、「できる・できないは関係なく、とにかく書いてみなさい。インスピレーションでいいんだから」って励まされて、やっと30個書き出しました。今考えると、自分が何をしたら楽しいかというよりも、何をすべきかを考えていたから、何も浮かばなかったんだと思います。
私が書き出したアイテムは、アロマテラピー、サーフィン、それにヨガ。ヨガはやってみたいことの一つではあったけど、それほど興味があったわけではなかったんです。でも、とにかく動かなきゃ始まらないと思って。ヨガならお金もそれほどかからないし、近所のジムで始められるし、私の置かれた環境では、一番トライしやすそうだったんですね。
ヨガを始めて半年でインストラクター養成講座へ
家の近所にあったジムのヨガのクラスに行ったら、そこのインストラクターが、かなり本格的にヨガを勉強された方で、季節ごとのからだのケアの仕方とか、花粉症に効くポーズとか、鼻洗浄、オイルなどについても教えてくれました。とにかくおもしろくて楽しくて。すっかりはまって、ヨガをずっと続けたいと思うようになりました。
ヨガを始めて半年たったころ、ヨガについてもっと勉強したくて、今度はネットで検索して3週間のヨガ・インストラクター養成講座に応募しました。初心者だし、と怖気づく気持ちもあったけど、応募要項に「ヨガをもっと知りたい人」ともあったので、思い切って。応募者3000人以上から抽選で30人しか受講できない大人気講座でしたが、ラッキーなことに当選。講座受講費は夫が出してくれました。きっと、何年もウジウジ悩んでいた私にヤキモキしていたんでしょうね(笑)。今振り返ってみると、この講座が私の道を開いてくれたと思っています。
インストラクター養成講座は、受講者のレベルが高くて、講義は英語。当時の私は、頭も体もついていけなかったけど、すごく楽しかった。養成講座を修了した後は、別のトレーニングにも頻繁に通うようになりました。いつもクラスの中で一番できない人だったけど、ヨガってポーズができる・できないは関係ない、そのプロセス自体がヨガだからって先生が話してくれるので、そのまま素直に受け取って。ビリでも楽しくやっていこうとレッスンにはげんでいたら、そのうち、次第にからだが動くようになっていきました。
からだって動かしていくと、自分が思っているより早く変わるんですね。ヨガは、からだだけじゃなく精神も安定していきます。心の安定は、周囲の人たちにもいい影響を与える。それを実感して、人にも伝えたいと思って、ヨガを教えたいと本気で考え始めました。
チャリティークラスが初めの一歩
すると、私のヨガの先生が、インストラクターの資格を取得したとはいえ、ヨガ歴2年にも満たない私に「教えることを始めなさい」と言うんです。最初、とんでもないと思いました。
でも、人が集まりにくい時間に1回500円程度の受講料で、インストラクターの卵に場所を貸してくれるところがあると。習いに来る人も初心者で、人数も少ないとのこと。それならばと、週に1回、500円、それも早朝の7時から、ほんの数人を相手に、チャリティークラスで教え始めました。
自宅を朝5時に出て、交通費も出なくてほぼ持ち出し。でも、楽しくて苦にならなかった。小学生だった子どもたちも、クラスのある週に1日は、自分で責任をもって学校に行くようになりました。やりたいことを我慢している母親より、外で思いっきりやって楽しそうなのがずっといいと思っていたようです。そうやって、少しずつ教えるのに慣れていくと、スタジオの人や先生にもっとやってみないかと声をかけられるようになり、受け持つクラスの数が増えていきました。
「女性」に特化したヨガを専門に
今は、週に15クラス受けもっています。最初は数が増えなくて、不安に思うこともありましたが、インストラクターを始めて3年が経ったころから、インストラクターの友達、スタジオ、先生から声をかけてもらって、クラス数が増えていきました。
私は口下手で、言葉でのコミュニケーションが不得手なのですが、関心のあるワークショップやトレーニングには必ず出かけていきます。そういうところで出会う人たちは、一生懸命やっている人ばかりで、ネットワークが広がると同時にしごとも広がります。
それから、私は、インストラクターとしてのレベルも地道に積み上げてきました。インストラクターそれぞれにスタイルがあるのですが、私の場合、自分の学びたいことに合わせて先生を選んで、習いに行って、ある程度基礎ができたら自分で練習してと、ブラッシュアップは、絶え間なくやっています。じゃないと熱心な生徒さんにすぐに追い抜かれてしまう。人気が出なければ、他のインストラクターとチェンジっていうのもありますね。
でも、インストラクターを始めて6年目に、産前産後や更年期の女性対象の、女性のためのヨガを専門にしようと思うようになってからは、「追い抜かれる」ことが気にならなくなりました。自分のやりたい方向が明確になったからだと思います。
女性のからだってライフステージの中で女性ホルモンの影響を受けて、大きく変化します。その時の心身を整えるためのツールとして、ヨガはすごくいい。ヨガを通して今の状態を発見して、受け入れて、楽しむことができるようになる。専業主婦だった時の、自分のからだや心をどうやってコントロールすればいいかわからなくて、イライラしたり悩んだりした体験をふまえて、伝えていければと思っています。
完璧じゃないってことは、まだまだ成長できるということ
インストラクターを始めたばかりのころは、何でも完璧にしたくて失敗を恐れていました。私は専業主婦の期間が長くて、レジスターの扱いやパソコンの操作も、最初は何も分からなくて、失敗続きで自己嫌悪に陥っていました。完璧じゃない、ダメだと自分を追い込んで、つらかった。
でも、誰かに甘えてもいいと思ったら肩の力が抜けました。完璧には一生かかってもなれないんだから、完璧じゃないのを楽しんでもいいんじゃないかって。それに、完璧じゃないってことは成長する余力があるということ。今も、新しいことに挑戦して、新しい人に出会って、一日の終わりに「今日も完璧じゃないけど楽しかった」っていうのを積み重ねています。
チャレンジがフィールドを広げる
ヨガのインストラクターを始めて12年が経ちます。最近、しごとでパートナーシップを結べる人と出会って、できることが増えて、さらにフィールドが広がりました。専門分野が異なるパートナーと組むことで、お互いに学びあうこともできるし、いいことづくし。新しいワークショップを開発して、自分も楽しい、収入につながる、誰かの役にも立つっていう循環ができると最高ですよね。
ほかにも、たとえば、下着会社の人と出会って、体によくて冷えないかわいい下着を作ろうとか、アーユルヴェーダ(*)のドクターと提携してオイルを開発しようとか。私、好奇心は常に持っているんです。
新しいことにどんどんチャレンジしていくことが、結果として、フィールドを広げるんだと思います。もっともっと、チャレンジしていきたい。
*アーユルヴェーダとは、インド発祥の健康法・生活法のこと。
神田さんからのメッセージ
Life & Career History