「フォーラム通信」2023年冬春号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2023年冬春号の特集は、「私、の痛み~痛みのジェンダー・ギャップ~」「家庭科教師で野球部監督で」。連載は「地球で行きてる私たち」。


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2年生になるとみんな僕の授業を受けるので。そういえば、誰もそういうことは言わないですね(笑)。男女関係なく、男とか女だからではなく、「人として」必要かですよね。「人」って言葉に置き換えて必要だったらやりますし、いらないものだったらやらない、そういう判断基準でやってます。­­­学校の中でのジェンダー観教員の研修も定期的にあり、直接的な表現での男女差別の言葉は以前より聞かなくなりました。学校内にそういった発言に注意しようとする空気はあります。ただ、何気ない言葉の根底にその人のジェンダー観がにじみ出ます。男子はちょっとできるだけでちやほやされたり。「イクメン」とか「家事を手伝える夫になりたい」とかも違いますよね。「手伝う」はそもそも平等じゃないよと生徒には言っています。­­­家庭でのジェンダーの教育僕の子どもが、「ピンクは女の色だから、嫌だ」と言ったことがあって。僕も妻もそういう話はしないので、うちの子でも言うんだなと(笑)。保育園とか学校、漫画とかアニメでそういう考えが作られるんだなあと思いました。そんな時には「そういうことは言っちゃ駄目だ」という風には言わず、「そうかあ」と聞きながら、「俺はピンク好きだけどな」とか「それ誰が決めたの?」と言ったりしています。料理は一通りやらせているので、中1の子どもは夕飯ぐらいは自分で作れますね。この前、中学校で初めての通知表をもらってきたんですが、技術家庭科が4でした。次は5は取ってほしいです(笑)。­­­パートナーとの家事分担学校と部活で朝6時半くらいに家を出て、帰宅は夜8時半くらいなので家にいる時間が短い状況です。生活時間的には駄目な時代の働き方。だから、正直、家のことは、そこまでできていないし、生徒にも偉そうには言えないんです。妻は高校の同級生で、保育士として働いています。家事の分担についてどの程度できているか自分では2:8くらいかなと思っていて、昨日、妻に聞いてみたところ「4:6くらいじゃない?」と言ってくれました。でも僕は申し訳ないと思っていて。毎日、朝4時くらいに起きて仕事や雑務を片づけるのですが、前の日の夕飯の皿洗いと、時間があればその日の朝飯は作っておきます。家に帰ってからは子どもと一緒にゲームをしたり、お風呂に入ったり、歯を磨いてあげたり、寝かしつけは自分がします。一日休みはこの2か月、ほぼ無いんですが、早く帰る日は自分が夕食を作ったり、子どもの送迎も。ただ、きっちり5:5であることが正解なのかといえば、難しいです。家事分担の一番の問題点は、話し合いの過程や合意がなく「女・男というだけで」選択肢がないことだと思っています。人には向き・不向きもあるし、労働時間の違いもあります。今ある時間的・人的資源の中で工夫して家族全員特集2家庭科教師で野球部監督でが納得していることが、まずは大事なんじゃないかと思います。分担の少ない自分が言うのも説得力がないですけど。家庭も部活も考え方は同じです。県立だから私学に比べて設備が整っていない、予算、スポーツ推薦入学が無いとか…愚痴や言い訳を言っても何も生みません。「公立だからやらなくていい」ではなく、今の資源でできる最大限の努力をする。固定観念にとらわれずやれることをやる、という意味において、うちが県立高校で甲子園を目指すという発想とつながるのかなと。­­­これからやっていきたいこと生徒からの感想の中に、「親や大人にこの授業を受けてほしい」という意見がいくつもあるんですよ。だから、今後は保護者や地域の方、大人向けに授業をやってみたいと思っています。(※1)「男は仕事・女は家事」といった性別を理由に役割を固定的に分ける考え方(※2)「男だから・女だから〜すべき」といった男女の役割についての固定的な考え方や差別・偏見野球部の生徒さんにもインタビュー!Q1家庭科の先生が男性と知った時の感想男性で家庭科の教師っているんだなって驚いた!野球部の顧問は体育教科の先生かなと思っていた。新しいことを始めようとしてるんだなと思った。家庭科の先生が男性だからと言って特に驚きはしなかった。Q2野原先生の家庭科の授業を受けて毎回、考えさせられることが多い。参加型の授業で、参加していると授業があっという間に終わってしまう。ジェンダーの話、家族の話が勉強になる。他の授業は眠くなったりするけれど野原先生の家庭科は全然眠くならない、楽しい!マネージャー2名(女子生徒)、選手兼マネージャー3名(男子生徒)にお話を伺いました。Q3マネージャーについて一般的なマネージャーはいらないから、と言われて最初はびっくりした。悩むことも多かったが勝ちにつながる仕事は何かを試行錯誤して、選手の目標や選手の体の管理など今のマネージャーの仕事を作り上げてきた。「選手には自分のことは自分でやらせるから、裏でマネージャーが服の洗濯などもやらなくていい」と言われた。どんどんグラウンドに出て指示するように、と教えていただいている。前は女子マネージャーしかいなかったが、野原先生になってから選手マネージャー(男子)も出来た。ジャグ(選手の飲み物)も以前は女子マネージャーが作っていたが今は選手マネージャーが作っている。7フォーラム通信2023冬春号


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