「フォーラム通信」2020年夏秋号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2020年夏秋号の特集は、「私、のなやみ」「自分のためのこころとからだのメンテナンス」。


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地球で生きてる私たち〜WorldWomen'sNOW!〜第4回ドイツ■ある日のタイムスケジュール7:00起床、シャワー、朝ご飯午前の仕事12:00家族でランチ(夫担当)午後の仕事、ドイツ語のオンラインレッスン、子どもたちとの遊び、夕食、散歩など22:00就寝(左)近所の犬の銅像もマスク姿(中)大家さんのお子さんと(右)毎日散歩する湖←日本にいる頃から家事は夫がかなりやってくれています。一応、気づいた方、時間がある方がするという緩いルールでやっていますが、食事はほとんど夫が作っています。家事で唯一私がすると決めている仕事は、キッチンをピカピカにしてから寝ることです。夫がキッチンにいることが多いせいか、息子たちも料理上手です。ドイツ連邦共和国首都:ベルリン主要産業:自動車、機械、医療技術、環境技術等人口:約8,315万人(外務省HPより)訪日ドイツ人は21万人(日本政府観光局訪日旅行データハンドブックより)。男女格差指数(GlobalGenderGapReport2020・2019年12月)順位は10位。*日本は過去最低を更新し、153か国中121位に(前年は149か国中110位)。移住のきっかけ2020年に入ってすぐ、14歳と9歳の息子と夫とともにベルリンに移住しました。日本では福岡県糸島市の自然豊かな美しい町に住み、自宅で小さな幼稚園をしたり、林業や農業の世界に触れるなど、貴重な体験をたくさんすることができました。ただ、子どもが大きくなるにつれ、型にはめていくような教育に対する疑問や、「こういう国にしたい」というビジョンが見えない政治に不安や焦りを感じ、移住を考えるようになりました。私の仕事フリーランスで翻訳、ライター、グラフィックデザインの仕事をしています。昨年は、「幼児期のジェンダーガイドブック」という冊子を作成しました。当時、自宅で幼稚園をしていたのですが、フィンランドで幼児教育を学んだ先生と話すうちに、自分が無意識にジェンダーバイアスを再生産していたことや、周囲にもジェンダーバイアスで傷ついている人が多いことに気づきました。そして、こうした現実をもっと多くの人に可視化できないかと考えるようになり、仕事で知り合った皆さんに声をかけてみたところ、たくさんの方が一緒にやりたいと手を上げてくださり、実現しました。ドイツでのくらし近くの湖に散歩にいくのが楽しみです。フルーツがとても安いので、土曜の青空市でたくさん買います。パンもおいしいので、パン屋巡りも楽しみでしたが、最近は休校で時間がたっぷりある次「幼児期のジェンダーガイドブック」http://teamsustainability.net/files/genderbook.pdfフォーラム情報ライブラリでも所蔵しています男が手ごねパンを焼いてくれるので、パン屋に行く機会が減りました。階下に住む大家さん夫妻は学校の先生なのですが、こちらの学校は高校でも昼過ぎに終わるので、夕方にはたいてい家に帰っておられて、家族とゆっくり過ごしている印象です。我が家も、家族で過ごす時間が長くなりました。また、「書く」仕事をしていると、ドイツの方が働きやすいと感じることが多いです。日本では、全方面に差し障りがないような記事を求められることが多いのですが、ドイツでは例えば「差別はだめ」、「体型に関係なくファッションを楽しんでいい」などメッセージを込めた記事をストレートに書くことができ、ストレスが少なく、やりがいを感じます。コロナ禍で、メルケル首相のメッセージを頻繁に目にするようになりました。科学的な分析を冷静に伝え、最前線に立つ人々に感謝を示し、慎重ではあるけれど断固としたメッセージを伝える姿勢に心強さを感じます。ChizuWatanabe渡辺千鶴フリーランス翻訳業・ライター。福岡で通訳、翻訳、大学講師として活動後、東京→福岡へ。二度目の福岡では田舎暮らしを満喫。2020年よりベルリン郊外に移住。9フォーラム通信2020夏秋号


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