「フォーラム通信」2019年春号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2019年春号の特集は、「お金の、悩み」。


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おすすめ映画・ドラマをご紹介エンタメあれこれ『あん』ありがとう、徳江さんさようなら、樹木希林さんハンセン病元患者(回復者)の女性と街の人々との出会いを通し、生きることの意味を問う名作。「何かになれなくても、私達には生きる意味があるのよ」……多くを語らない主人公・徳江の言葉には、彼女が生きてきた軌跡がにじみ出ている。2018年9月に惜しくもこの世を去られた名優・樹木希林さんの最後の主演作。-樹木希林さんには、2017年10月のフォーラム南太田まつりにて、サプライズでトークショーにご出演頂くなど、大変お世話になりました。ご冥福をお祈りいたします-監督:河瀬直美制作年・国:2015年/日本・フランス・ドイツ出演:樹木希林、永瀬正敏他原作:ドリアン助川(ポプラ社)Ⓒ2015映画『あん』制作委員会渡辺裕子横浜市在住、TV大好きイラストレーター。Twitter@satohi11渡辺裕子’swebsite検索無口な店長の小さなどら焼き屋に突然現れ働くことになる老婆、徳江さん。彼女がまだ暗いうちから始めるあん作りは、開店する11時ごろにやっと終わる、大変な作業。あんをゆっくり煮つつ「おもてなしだから」と言う徳江さんに「お客さんをですか?」と店長が問うと「豆よ。せっかく来てくれたんだから、畑から」と彼女は笑って答えます。その瞬間小豆は商売の道具ではなく、はるばるやってきた、もてなすべき大事なものへと変わり、人に言えない過去を持つ店長も、店を訪れる孤独な少女も、徳江さんが大切に作るあんによって少しずつ変わっていくことになります。桜並木の美しい静かな町の、おとぎ話のような物語。…けれど徳江さんがハンセン病の元患者であることを知った人たちにより噂が広がり、3人とどら焼き屋の運命は変わり、おとぎ話も終わります。想像を絶するつらい人生を送ってきたであろう徳江さんは、誰にでもやわらかく笑いかける。その勇気はどこからくるのでしょう。彼女が「おもてなし」したあんを、店長がそっと包んだどら焼き。私たちはいつかどこかで食べることができるのでしょうか。フォーラム通信2019春号8


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