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『ドリーム』人種と性差別による壁を打ち破って、宇宙へ 図書館で本を借りられず、限られたトイレしか使えない、昇進の道もない。不満を訴えると「しょうがないでしょ」「面倒を起こさないで」と言われてしまう。あげく「私には偏見はない」と言い切られる。 はっきりした差別主義者よりも、こういう自覚なく差別する人の方が世間にはずっと多く、実はとてもやっかいだ。また、恵まれているゆえに、そうではない人の苦労が何一つ見えていない幸せな人もいる。 さて、自分はどの位置にいるかな?と、見ながら考えずにはいられない映画。……そんな重いテーマを扱いながら、明るく、ステキな音楽に彩られ、ときにはロマンチックに進む物語。笑ったりもらい泣きしたりの最後には、彼女たちへの拍手喝采が(もちろん!)待っています。渡辺裕子 横浜市在住、TV大好きイラストレーター。TWITTER@SATOHI11『ドリーム』(英題 HIDDENFIGURES)1960年代、ソ連とのし烈な宇宙開発競争を繰り広げるNASAのラングレー研究所。白人男性だけのオフィスに、優秀な頭脳を持つ黒人女性計算手たちがいた。全米興行収入チャート1位を獲得、アカデミー賞では作品賞など3部門にノミネートされた実録ドラマ。エンタメあれこれおすすめ映画・ドラマをご紹介渡辺裕子’SWEBSITE検索監督/セオドア・メルフィ製作年・国/2016年、アメリカ配給/20世紀フォックス映画出演/タラジ・P・ヘンソン他©2016TWENTIETHCENTURYFOXフォーラム通信2018夏号 8