「フォーラム通信」2017年夏号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2017年夏号の特集は、「イライラ・ムカムカ・モヤモヤ。女の怒りはどこから?」


>> P.12

REPORT事業レポートQ.夫のことが好きじゃない。いっしょにいるのが苦痛です。A.四の五の言わずに離婚して!と言いたいところ。でも、そうできない理由がありますよね。自分の生活を充実させてみるのも手です。女友だち、ペット、趣味、仕事…人生には、夫婦よりも楽しいことがいっぱいあります。―*―*―*―Q.子育て中です。小さなことでついイライラしてしまいます。A.がさつ・ずぼら・ぐうたらというすばらしい言葉を贈ります。家がちょっと汚くても、お風呂にひと晩入れなくても、おやつが手作りでなくても、子どもは死にません。毎日自分に言い聞かせるといいですよ。子どもにイラっとしたら、顔はそっぽを向きながら、ぎゅっと抱きしめるのをおすすめします。 それから、自分は母親だからと気負わないこと。むしろあなたは野生動物保護センターの所長、相手は野生動物。言葉は通じない、わかりあえないのがあたりまえ。でもいつか動物は森に帰ります。ほら、少し楽でしょう?―*―*―*―Q.職場の人間関係がつらくて退職しました。女の敵は女でしょうか。前向きになりたいです。A.毎日自分をほめてあげてください。鏡を見ながら「あたしの顔はけっこう素敵よね」と。退職したあなたはえらい。自分を否定してくる嫌なやつからは、逃げるのが一番ですから。女の敵は…どうでしょう。私は、女を深く理解してくれるのもまた女だと思っています。―*―*―*―Q.姑の介護をしていると、ついイライラしてしまいます。明るい介護をしたいのに。A.それはたいへんですね。まずは、自分の時間をちゃんと取りましょう。好きなことをしてリフレッシュする。そして割り切って粛々とこなしましょう。 私自身の経験からも、介護で大切なことはやりすぎないことだと思います。自分をすり減らしてまで頑張って「こんなに尽くしてあげたのに」と相手をうらまないように。亡くなったあとに、もっとやってあげればよかったと後悔するくらいがいいのでしょうね。伊藤比呂美(いとうひろみ)1955年東京生まれ、詩人。80年代に『良いおっぱい悪いおっぱい』『おなかほっぺおしり』シリーズで育児エッセイという分野を切り開き、母親たちの共感を呼ぶ。著書に人生相談形式の『女の絶望』『女の一生』、親の介護を書いた『とげ抜き新巣鴨地蔵縁起』『父の生きる』など。西日本新聞で20年にわたり人生相談「比呂美の万事OK」を担当(東京新聞でも4月から連載開始)。現在は熊本とカリフォルニアを往復しながら活動を続けている。 話題の本の著者をおまねきしてのトークライブ「ブックカフェ」。3月18日(土)のゲストは、作家で詩人の伊藤比呂美さん。新聞等で約20年にわたって人生相談を受けてきた伊藤さんが、参加者から寄せられたさまざまな悩みに、当日、その場でお答えしました。 満員の会場は、伊藤さんの軽快なトークで大盛り上がり。他の参加者のエピソードを聞いて涙ぐむ人も。いろいろあるけど大丈夫!明日もなんとか生きていこう、と勇気をもらえる一日でした。伊藤比呂美さんの人生相談ライブ!「万事OK」Q.不妊治療をしています。先が見えなくてつらいです。A.あなたがどれほど苦しいか、想像するだけで胸が痛いです。一人で抱え込まず、夫に自分の気持ちを打ち明けながら、夫婦二人三脚で進めてくださいね。 私は、人が前に進めるのは「あたしはあたし」という結論が出たときではないかと思います。もし望むような結果にならなくても、あなたらしい生き方を貫けるよう願っています。―*―*―*―Q.40代の娘が独身です。親としては、結婚してほしい、子どもを持ってほしいと思います。私に何かできることはあるでしょうか。A.娘さんの生き方を、ありのまま肯定してあげてください。今生きている、素敵!仕事をしている、えらい!結婚していない、いいじゃない!子どもがいない、それがあなた!何度でも伝えてください。あなたにできることはそれだけです。―*―*―*―Q.夫のことは好きですが、触れられたくありません。傷つけずに断る方法はないでしょうか。A.夫婦なのに言えない、夫婦だから言えない。難しいですね。カレーの具は何が好き?くらい気軽に話し合えるといいのにね。これはあなたの人権にかかわることだから、できればはっきり嫌だと言いましょう。同時に、すごく好きよと、率直に愛情を伝えてみてください。手をつないだり、デートをしたり、いろいろなスキンシップの方法があると思います。―*―*―*―Q.母のことがどうしても許せない。実家と縁を切りたいです。A.はい、縁を切りましょう。よほどのことがあったのでしょうね。これまでよくがまんしましたね。自分を守るために、今すぐ荷物をまとめて家を出ましょう。子が野生動物なら、親は魔女かもしれません。―*―*―*―Q.いわゆる独居老人です。われながらよく生きてきたなと思います。でも将来が不安になるときがあります。A.本当に、よく生きてこられました。たくさん苦労があったでしょう。あなたは勇敢。会場のみんながそう思っているはずです。一つだけお願いです。これから先、何か困ったことがあれば、すぐに人に相談してください。友人や福祉の窓口、男女共同参画センターの相談室もいいです。必ずだれかが助けてくれます。ⓒ吉原洋一フォーラム通信2017夏号 12


<< | < | > | >>