「フォーラム通信」2017年夏号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2017年夏号の特集は、「イライラ・ムカムカ・モヤモヤ。女の怒りはどこから?」


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あなたにはあなたが大切にしている価値観があるんだね」と相手を理解し、②の許せる範囲を広げていきましょう。 ②と③の境界線はあいまいで、それは多くの人の場合、いわゆる「機嫌」に左右されます。そうすると何がよくて何がだめかその時々で違ってくるため、相手は混乱します。怒る・怒らないの境界線を明確にすることが大切です。(3)行動のコントロール ③にあてはまり、怒らないと後悔するようなことであれば、怒りましょう。そのときは、状況を6ページのように4つの箱に整理してみましょう。︱女の怒りはどこから? 女性は、人生において一人で何役もこなすことを求められがちです。働き手、妻、母、娘、PTA役員、町内会員⋮その分、怒りを感じる場面が増えます。 私は子育て中の女性に向けて講座をしていますが、女性からよく聞くのが「自分は軽んじられている」という怒り。仕事でも家庭でも、対等に認めてもらえない不満です。私の夫はいわゆる転勤族で、引っ越しで全国を転々としました。幼い子どもを連れて、絶えず変わる環境に手いっぱい。ある日、会社から帰宅した夫に「楽そうでいいね」と言われ、何気ないその言葉に激高しました(笑)。何を言ってるの!? 仕事をしていたころの方がずっと楽だった、子どものペースに巻き込まれて思いどおりにならないし、自分の時間もないし、どんなに頑張ってもお金ももらえないのに! と。当時は夫も忙しくて余裕がなかったのだと思いますが、家族であっても、お互いを理解するのは本当に難しいですよね。︱伝えるときにひと工夫! なぜこんなこともわかってもらえないの、と言いたいところですが、要求は、言葉で明確に伝えましょう。日本人は空気を読んで察することに価値をおきますが、それには限界があります。「10時に集合してください」でなく「9時50分までに着席してください」、「部屋をきれいにしてね」でなく「床におもちゃが一つも落ちていない状態まで片付けてね」。親子や夫婦など身近な関係ほど、「わかってくれているはず」との思い込みから、コミュニケーションはあいまいになりがちです。 それから、ボキャブラリーを増やすことも重要です。「ムカつく」だけでなく「今、眉間にしわが寄ってるよ」「頭に血がのぼって、震えるほど怒りを感じているの」など、自分の状態を表す言葉が多様になるほど、気持ちは細やかに伝わります。︱「キレられた」ときの 対処法 とつぜん理不尽に怒られた経験はだれにでもあるはず。傷つくし、落ち込みますよね。まず、その感情は相手が生み出しているものだと認識してほしいです。自分を責めたり、むきになって言い返したりしなくていいのです。ただし、黙っていると相手の行動がエスカレートするおそれもあります。少し落ち着いて、可能であれば、自分が傷ついたこと、そのような言われ方が自分は苦手だということを相手に伝えてみましょう。「私は⋮と感じます」と、自分を主語にして話すことがポイントです。 また、相手が身近な人ならば、相手の行動を冷静に分析してみましょう。怒るポイントがどこにあるのかが分かれば、どう対処すればいいかも見えてきます。ただし家族や恋人など、親密な関係性のなかでも、相手が自分をさまざまなパワーで支配しようとしてくる場合は、話は別です。何より自分の安心・安全を優先し、信頼できる専門機関に相談してください。︱怒りはエネルギー 日本人は「怒り下手」。けれど、怒りは心身を守ってくれる大切な感情の一つです。どうか怒る自分を嫌いにならないでほしいです。 また、怒りは莫大なエネルギーです。悔しいから頑張ろう、見返してやるぞというモチベーションに転換できます。それは目標達成、自己実現のための建設的な力になるのです。自分の感情と上手に付き合ってほしいなと思います。7 フォーラム通信2017夏号特集2アンガーマネジメントでイライラ・ムカムカと上手に付き合う


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