001【表紙~本冊】横浜連合婦人会館史 100年のバトンを受けとる

「横浜連合婦人会館史」100年のバトンを受け取る(公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会)


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その後会長をはじめ、この満堂の皆様の燃ゆるがごときご熱心なるご活動の結果、ここに私どもの期待をみごと裏切って、今日はこの壮大なる会館の落成式を挙げらるるに至りました。ここに私は自分の不明を恥ずるとともに、女性の力ということについて今更のごとく痛感せざるを得ません。女性は物事を整えること、まとめることの尊ぶべき力を持っておらるるその尊ぶべき力の発現の一つとして、この婦人会館の落成に一つの興味を持たざるを得ないのであります。この尊ぶべき力はこの会館落成の後、更に幾倍の力となって種々なる有益の事業がこの会館の内より社会に生まれ出るであろうということを、更にいっそうの興味をもって期待するものであります。この機会において私は所感の一端として、我国古代の女性の社会事業に対する活動ということについて少し申し上げてみたいと存じます。このような歴史に関係することは私が申し上げるべき柄ではありません。ことにご婦人の前で、ご婦人の歴史を申し上げるということは、誠に自分の分限を知らぬ突飛の沙汰でありますが、今日は私が興懐の禁ずる能わざる点がありますがために暫時のご辛抱を願いたいと存じます。実は私は自分の道楽として本邦古美術に対して深い興味を持っております。従って今日まで十年間必ず年に二、三度ずつは奈良・京都地方に旅行しまして古代の文化の跡について低徊するをもって楽しみとしています。その場合において古代の女性がその時代の社会事業に尽力せられた文献の残存するもの、またその遺跡、国碑の伝うる所等について、種々感じたところのものがあります。しかしこれは大抵は皆様のよくご存じのことばかりでありましょうから、それを前もってお断りを致します。横浜連合婦人会館史100年のバトンを受けとる24


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