001【表紙~本冊】横浜連合婦人会館史 100年のバトンを受けとる

「横浜連合婦人会館史」100年のバトンを受け取る(公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会)


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ました。センター横浜南は旧横浜市婦人会館で、この紅葉坂の「婦人会館」の老朽化と狭隘化により、二代目の婦人会館として一九七八(昭和五三)年に現在の南太田に移転新築され、その後、二〇〇五年に男女共同参画センター横浜南と改称して現在に至っています。渡辺たま氏は、横浜女子商業(現中央大学附属中学/高等学校)の創設者でもあります。明治から大正にかけ、横浜で躍動的に実業家が活躍した時代の背景には、海外諸国と渡り合うために商業や経営に関する学問と実践が重要とされ、得た利益は社会へ還元し慈善活動にも役立てることが美徳とされた上流社会の存在がありました。このような時代の要請を、まさに女性の視点から受けて立ち、ぶれずに実践してきた渡辺たま氏の生き方は今、この時代にも勇気とヒントを与えてくれます。古い因習にとらわれない開放的な進取の気性、国際性など、開港にはじまる歴史の浅い街ならではの、横浜らしさの特長がぎゅっと詰まった活動記録です。そのうえ、困っている人を放っておけない心映えと利他の精神、志を同じくするなら宗教の違いなど気にせずに活動を共にする包容力、苦労も楽しげに語る明るさなど、時空を超えて輝きを放つ内容に心打たれます。これを機に男女共同参画の具体的な進め方についても考える機会となりましたら幸いです。この貴重な史料の刊行に至るまで多大なお力添えをいただいた女性史研究者の江刺昭子様、横浜の女性の歴史と街に詳しい嶋田昌子様、横浜市史の専門家・平野正裕様をはじめ皆々様のご尽力により、未刊行の史料が公表できる運びとなりました。心より感謝申し上げます。田たぞう雑由紀乃(公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事長)3はじめに


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