「フォーラム通信」2023年冬春号

地球で生きてる私たち〜WorldWomen'sNOW!〜第9回デンマークデンマーク(デンマーク王国)首都:コペンハーゲン主要産業:流通・小売り、医薬品、畜産・農業、運輸、エネルギー言語:デンマーク語―外務省HPより―人口:約584万人(2021年IMF統計)◆ジェンダー・ギャップ(男女格差)指数2022順位は32位※日本は116位(146カ国中)(上)近所の景色(下)高校で行われる地方自治選についての討論会-デンマークでの暮らし-2001年10月に移住しました。きっかけは、デンマーク人と結婚したこと。将来子どもができた時にどこで育てたいかという話になり、森のようちえんの存在や、塾がなく、子どもが思う存分子ども時代を生きている様子を見て、デンマークに暮らすことを選択しました。7年前に離婚しましたが、日本とは違った社会に暮らし、働き、子育てもできた経験はとても良かったと思っています。現在、ワークショップや視察、学びの旅を企画したり、メディアコーディネートや取材・執筆など、日本とデンマークをつなぐ様々な仕事をしています。日本に暮らしていた時は、時計との追いかけっこのような生活でしたが、デンマークでは、天候とおひさまの状態が優先される生活になりました。太陽が出ていることは貴重で、晴れている時間に散歩に行くことを優先したり、洗濯のタイミングを考えたり。最近ではエネルギー料金が高くなっているので、洗濯や食洗機、掃除機をかけることも、電気が余っている安い時間帯を意識するようになりました。--デンマークの魅力社会が性善説で成り立っていて、人を信頼できるのは大きな魅力。生活の楽しみは、日々の雲や空、鳥や自然の様子や移り変わりを感じることで、特にロラン島に暮らすようになって、「空ってこんなに広くて表情豊かだったのか…!」とあらためて感じるようになりました。春から秋にかけては、ベリー類やチェリー、いちじくなどいろいろなフルーツが順番に実るので、毎日収穫して食べたり加工したりするのも楽しみの一つですし、最近気に入っているのは、息子やその友達と、自立した人間同士という関係性で音楽のセッションをしたり、スポーツをすることです。--デンマークの女性たちデンマーク人は、人にどう思われるかより、自分がどうしたいかが大事。ファッションもみんなが同じスタイルという流行はあまりなく、それぞれのマイブームが主流。そして、パートナーの家族とは姑を含め、対等な関係です。日本と比べたら、女性も本音で生きられるし、ジェンダー関係なく役割分担をするので、生きやすいと思います。子育ては母親だけでなく、パートナー、社会が共に担うので、働きやすいし子育てで孤独に陥りにくいのでは。チームが分かれていることが多く、どちらに属するべきか?という問題)や、宗教上の制約(既存のルールとヒジャブの着用の是非など)に関する課題がよく取り上げられています。また、性教育が子どもの頃から重要視されていて、お互いのからだのことについて、比較的オープンに話せる環境にあると思います。--政治への参加国政選挙の投票率は概ね85%を超えることが多く、男女ともに政治への関心はとても高いで4%が女性です。現在のす。国会議員のうち、42人の大臣の首相も歴代2人目の女性首相で、2うち、8名が女性閣僚。こちらも、子どもの頃から民主主義の実践が様々な形で行われるので、ジェンダーに関係なく政治参加への意欲は高いと思います。日本では、よく「しょせん、日本の民主主義は外から与えられたもの」という言葉を耳にし7年、その言い訳は賞味期限切れますが、戦後7だと感じます。たとえ最初は外から与えられたものであったとしても、そろそろ、日本にぴったり合った民主主義をつくりあげていく時期に来ていますし、そのためには、すべての人が参加してつくられるという民主主義を、子どもの頃から実践できる環境づくりが、教育現場、社会活動、家庭を含め必要だと感じます。どんなジェンダーの人も、それぞれに自分らしく、のびのびと、自分の生を生ききる権利がある。そんな当たり前のことに立ち返るきっかけを共につくっていきたいと思っています。--スポーツと性教育子どもの頃から男女関係なく、好きなスポーツや芸術にいそしむことができるような環境がありますし、学校での部活動はなく、「女子マネ」的な存在もありません。最近は、男女のカテゴライズに当てはまらないジェンダーの人のアスリートとしての活動(だいたい2つの性にニールセン北村朋子CulturalTranslator/文化翻訳家。ロラン島在住。デンマーク発祥の「人生の学校」を立ち上げるための理事や、ロラン島のインターナショナルコミュニティのボランティアにも従事。趣味はギターの弾き語りと食の探求。noteやポッドキャストもやっています。9フォーラム通信2023冬春号