「フォーラム通信」2019年夏号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2019年夏号の特集は、「私、の話」。新連載は「まだ名前の無い◯◯」、「地球で生きてる私たち」。


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地球で生きてる私たち〜WorldWomen'sNOW!〜第1回タイタイ王国首都:バンコク主要産業:農業人口:6,572万人(2015年タイ国勢調査)2016年の訪日タイ人数は約90万人。タイを訪れた日本人数は約143万人(外務省HPより)。2018年の男女格差指数(GenderGapIndex・世界経済フォーラム発表)ランキングでは73位。*日本は110位/149か国中。指数が高いほど男女の格差が小さく、平等であることを表しているチェンマイでの施設運営とものづくり様々なご縁がつながり、私の母が、タイ北部チェンマイ郊外にHIVに母子感染した孤児たちの生活施設「バーンロムサイ」を立ち上げたのが20年前の1999年。手仕事が好きな母と、デザインが得意な私。運営を寄付だけに頼らず、現地の材料や子どもたちが描いた絵などでオリジナル商品を作って日本で販売しよう!と私たちのものづくりが始まりました。材料探しのため訪れた市場で見つけた華やかな民族衣装、色とりどりのフォーラム通信2019夏号10絹、綿、ビーズや近隣諸国から集まるアンティークの装飾品。日本にもヨーロッパにもない色合いや世界観に引き込まれてゆくことになりました。なぜ首都のバンコクよりも北タイにそのような独特の文化が集まっているのか?背景として、かつてチェンマイを首都とした「ランナー王朝」の存在があります。それは、北部山岳地帯にある現在の国境を大きくまたぎ、それぞれに異なる言語と文化を持つ200以上もの少数民族が暮らすと言われていた地域でした。チェンマイに居ながらにして感じる乾いた砂漠の風や遠くオリエントを思わせる植物柄……手仕事の数々から、その土地の文化や香りを感じることができます。現在は、医療が発達し、母子感染は防げるようになり、他の様々な事情で親と一緒に暮らせない子どもたちも入園してくるようになりました。“大きな家族”を支えるため、コテージリゾート「ホシハナヴィレッジ」の運営もスタートさせ、子どもたちの将来の就労の場にもなれば、と願っています。2周年。多日本の鎌倉のお店も今年で1くの方にバーンロムサイの製品を手に取っていただいています。仕事でやりがいを感じる瞬間バーンロムサイの財布を持っていたら知らない方と話がはずみ、お友達になった!というエピソードをお客様が時折話してくださいます。「物」としてだけではなく、“気持ちが上がる”“ご縁がつながるきっかけになった”と聞くと、やっていてよかったな、と感じます。他にも、卒園生たちがお母さんになったとか、元気に働いていると聞くと嬉しいですね。タイの女性たち一緒に仕事をしているスタッフは、真面目で一生懸命、楽しいことやお祭が好きです。タイはジェンダーに対する意識が日本より自由で、ヨーロッパ的な気がします。ひとりひとり、お互いの状況が違うこと(既婚・未婚・子どもがいるかいないか等)を気にしたり押しつけたりしないので、生きやすいのではないでしょうか。例えば、カレン族という民族は女性が家を継ぐ習慣があって、結婚とともに「お婿さん」と村に帰ったり、中国系以外のタイ人はお墓を持たず、火葬して村のご神木の足元に素焼きの骨壷を置くだけ。社会全体を包んでいる空気そのものが南国的で軽やかに感じます。NatoriMiho名取美穂バーンロムサイジャパン代表。展覧会のプロデュース、プロダクツの企画・デザイン、鎌倉店の運営など、様々なアイデアを出し取り仕切っている。バーンロムサイとは、タイ語で「ガジュマルの木の下の家」。大きくどっしりと大地に根を張ったガジュマルの木は、暑い時には日陰を、雨が降った時には雨宿りの場を人々に与えてくれる。子どもたちが安心して暮らし、学び、遊べる場でありたいと願って名づけた。https://www.banromsai.jp/


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