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2018秋号特集お金生き方×自分にとってのお金とは?……そんな風に考えてみること、ありますか?お金との関係性には、その人の生き方が反映されていると言えます。他の人の「お金×生き方」を知ることで、自分を縛る呪いから解放されたり、もっとフィットする生き方へのヒントが見つかるかもしれません。小島慶子さんと伊藤洋志さんに、それぞれの「私とお金」のお話をうかがいました。特集1小島慶子さん私の人生とお金私の育った家庭とお金お金について親から習ったことなんて、「保証人にだけはなっちゃいけない」ってことだけでした。それも大事なことではあったけど、生きていく上で必要な保険とか貯蓄とか家計のやりくりが知りたかった。当時は、そういう知識が必要だってことすら知らなかったんです。お金と自分の関係なんて、まるで想像つきませんでした。と書くとよほどのお嬢様育ちだと思われそうですが、育ったのは新宿から電車とバスで1時間以上もかかる東京郊外のサラリーマン家庭。父の勤め先は一部上場企業でしたので、平均的な収入の家よりは余裕があったかもしれませんが、両親とも貧乏な家の出でしたので資産もなく、中学から私立に通った私の学費と家のローンとで、母は随分やりくりに苦労したようです。通った学校がまたいわゆるお嬢様学校で、学年の半分は一般的なサラリーマン家庭だったものの、中には正真正銘の富裕層の子もいて、桁違いの暮らしをしていました。時はバブル期。国内と海外に別荘がいくつもある子や、免許を取ってすぐにジャガーに乗る子、学校にローレックスの時計をしてくる子。財布はフォーラム通信2018秋号2ヴィトン、夏休みは海外に語学キャンプ、冬はスキーにハワイとまあ、絵に描いたような豊かな暮らしぶりでした。そんな同級生を横目に、我が家は高級ブランドは買えないし別荘もないし家も麻布や高輪ではなく京王沿線の田舎だしで、今思えば至極まっとうな金銭感覚を身につけることができました。6040それでも高校生の時は月に5000円とか、臨時の出費も加えたら8000円くらいはもらっていたので、一般的に見ればかなり恵まれていたでしょう。今、私は高校1年の長男に毎日の皿洗いの報酬としてひと月豪ドル(3500円くらい)を支払っていますが、働きもしないのにドルとか100ドルなんて、絶対に与えるつもりはありません。きっと母は周囲の子供とあまりにも差がつきすぎないように、気遣ってくれたのでしょう。お小遣いは、先生に内緒で立ち寄るシェーキーズやウェンディーズでの食事代や、ソニープラザ(現PLAZA)で買う外国製の文房具代で消えました。十代、格差を知るさてさて、そんな十代を過ごして、私は格差というものについて考える機会を得ました。もっとも格差といっても、富裕層と中流家庭の格