フォーラム通信2017年春号

横浜から男女共同参画社会の実現を考える


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どう変わるべきか、おのずと見えてくるでしょう。 ︱︱ 「稼ぐ力」を伸ばして  昨今の就職・転職活動を見ていて気になるのは、「やりがい」や「自己実現」に、過剰にフォーカスしていないか、という点です。仕事を理想化しすぎて「やりたい仕事がない」とえり好みしたり、就職後に「思ったのと違う」と失望する。結果、「お金をもらえれば充分。やりがいは求めません」と投げやりになったり、「やりがいがあるから、賃金は低くてもいい」と、労働条件よりも「やりがい」を優先してしまう。 私は、生活の糧を得るために働く︱そのために自分ができること=仕事という考え方が、ベースラインだと思っています。学生時代、私には経済的な余裕がなく、アルバイトで生活費を稼いでいました。衣食住+Αを賄うだけのお金がないというのは、とても苦しいことです。お金がないと、できないことばかり。友人にランチに誘われてもいっしょに行けず、だんだん疎遠になっていく⋮。生活に困窮すると、人間関係も貧困になっていくのです。そうすると、困ったときに相談したり、頼ったりする糸口がつかめなくなる。これはとても恐ろしいことです。働いてお金を稼ぐことは、自分自身を守ること。だからこそ、少しずつでも「稼ぐ力」を伸ばすことが大切です。 ︱︱ わらしべ長者とキャリア  「稼ぐ力」を少しずつ伸ばし、やりがいを感じる仕事につなげていく。そのためには、今の仕事のなかで拾えるものを確実に身につけましょう。 「わらしべ長者」を知っています「わらしべ長者」を知っていますか? 貧乏な男が、1本の〝わら〟を 拾ったことをスタートに、さまざまなめぐり合わせと物々交換を経て、最後にはお金持ちの長者さんになる話です。 仕事も同じです。自分ではたいした経験はないと思っていても、意外な蓄積になっていることはよくあります。たとえば、私の学生時代のアルバイトの一つに、家電量販店の販売員があります。店頭で接客・販売をしていたのですが、いっしょに働いていた人のなかには、できるだけお客さまと関わらないようにする人もいました。私は逆で、積極的に声かけをしていました。なぜなら、何もせずに8時間も立っている方が疲れるからです。「何に使いますか?」「どんな機能が欲しいですか?」と聞いていました。この経験が―多様化するワークスタイルあるIT大手企業が、全従業員を対象に、週休3日制の導入を宣言しました。突拍子もないことのように思うかもしれませんが、15年後には、週休3日が標準になっていてもおかしくありません。そもそも、1980年代までは土曜日は半日勤務でしたが、この30年で週休2日があたりまえになりました。今、週休1日で採用募集をしても、だれも応募しないと思います。従来のワークスタイルの常識を疑い、新しい働き方を提供できる企業が、より優秀な人材を獲得できる時代になるでしょう。フォーラム通信2017春号 4


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